第一弾<book>

□くろーばー【あまき様】
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いつだって、口に出してから後悔する。
その言葉に傷つくのは自分自身だと頭では理解しているのに。


「・・・なんでジュビア?」

「なんでって・・・いつも一緒にいるじゃない、アンタ達。だからジュビアなら知ってるんじゃないって」


更に自分の首を絞める。
もういいから行ってしまって。
祈るような気持ちで笑顔を繕う。


「でも俺はルーシィに聞いてんだよ」

「だから知らないってば」

「知らないって最初から言えばいいだろ」

「言ったじゃない」

「言ってねぇ」


鋭くなる言葉が止められない。
どんどん嫌な女になっていく。


「最近のルーシィ何か変じゃねェか?」

「・・・そんなこと、」

「あるっ!」


不機嫌な中に戸惑いを混ぜたような顔でグレイがこっちを見る。
誰のせいで、そんな言葉が喉元まで出かかる。
それでも出さないのは小さなプライド。


「・・・失恋、したの」

「は?!」

「失恋したの傷心なのズタズタなのっ!」

「あ、いや、そりゃあ・・・」


思いもよらない言葉にグレイが慌てふためく。
私は自嘲した。


「だからほうっておいて」

「うん、まぁ、男は星の数ほどだなぁ、」

「そんな月並みな慰めはいらない」

「お、おう」

「どうせなら」


そう、どうせならこう言いなさいよ。


「俺が慰めてやろうかの1つや2つ言えないわけ?」


キョトンとグレイが固まる。
私は顔を見ていられなくなり下を向いた。


「ルーシィ」


優しい声音。
思わず涙ぐみそうになって手に力を入れた。


「そんな男より俺にしとけよ」


咄嗟に視線を上げる。


「なんてな」


そこには意地悪く笑うグレイがいた。
わかっていた、知っていた。
グレイにとってわたしは仲間であり家族みたいなものだって。
だからやめたのに。


「バカ・・・」


涙の意味を知りもしないくせに。





それはそれは綺麗な揶揄でした

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