さぁさ

□言うつもり、なかったのに。
2ページ/2ページ




「……好きなの……グレイ……」


「え……?」


グレイは驚いた様子だった。

そしてルーシィは、今自分が言ったことを思い出す。


『好き』


確かにそう言った。

けど、それは無意識で。


言うつもり、なくて。



「や……! あたし、今何言って……」


オロオロと戸惑うルーシィ。

言っても傷つくだけだと、そう思ってきたのに。


「ごめん! 今のナシ!」


とりあえずこの場から立ち去りたいルーシィは、逃げようとする。

しかし、逃げようとする腕を、グレイにガッチリホールドされていて。


「やだグレイ、離して……っ!」
「何で?」
「お願いだから、離して!」
「イヤだ」


ルーシィが何を言っても、グレイは離す気はさらさらないようだった。

むしろ、腕でなく、腰までグレイの腕にくるまれ、ルーシィの身体が完全にグレイの腕にホールドされた。


つまり、抱きしめられた。


「やめてよ、グレイ。あたし、勘違いしたくないの」


だから離して、とルーシィは続ける。
ルーシィは泣きそうな声色で。
すでに目尻には雫が溜まっていて。

でも、グレイは腕の力を緩めない。


「なぁ、ルーシィ」
「な…に……」



「好きだって言ったら、どうする?」



「え……?」


グレイの言葉に驚き、思わず顔を上げると、そこには優しく微笑むグレイ。


「……好きだよ、ルーシィ」


その瞬間、つうっとルーシィの頬に一筋の光が流れた。
その光は、頬を伝ってグレイの胸にぽつりと落ちる。


「う…そ……だって、グレイは「オレがどんだけ片思いしてたんだと思ってんだよ」……え」


ルーシィはナツやロキの事が好きなんだと、グレイは思っていた。


だから、この想いは封印しよう。


人知れず、そう決めて。



そう、ルーシィと同じ事を思っていた。



「「あははっ」」



グレイがその事を言うと、2人は同時に笑いだした。


まさか2人とも同じ事を考えてただなんて。


両想いと分かった嬉しさと、同じ事を考えていたおかしさで、ルーシィとグレイは笑った。

一通り笑うと、ルーシィは安堵の表情を浮かべた。


「そっかぁ……あたし、グレイの隣にいていいんだ……」
「当たり前」


そう言うと、グレイはルーシィの前髪を上げ、額に口付けた。
チュッとリップ音が鳴る。


「これからも、隣でいてくれよな、ルーシィ」
「うん……ずっといるよ、グレイ」


そうして、2人は引かれるようにキスをしたーー。



ーendー




台詞
「好きだって言ったら、どうする?」

場面
仕事先ではぐれる(2人きり)



あとがき


スイマセンorz

グレイがなんかクサい人になってしまいました……(^_^;


 
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ