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□ツいてる日
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「へー、ココ越前君の家なんだ」

「そう」

「おー? 何だリョーマ」

「え……」

 後ろから声をかけてきたの変なオジサン。しかも服も変。

「んー? お嬢ちゃんリョーマの彼女ぉ?」

「え、いや……えと……」

「やめろよ、嫌がってるだろ?」

 サッと私の前に立って、変なオジサンとの間に入ってくれる越前君。

 ちょっとドキッ……すっごくドキッてしてみたり。

「あーん? リョーマもスミにおけねーなぁこの野郎っ!」

 え? リョーマ……? あ、何か最初も名前呼んだりしてたような……。

 え、何。もしかして越前君の知り合い!?

「ね……越前君の……知り合い?」

「知り合いも何も俺ぁリョーマの父親だ!」

「ち、父親ぁ!?」

「あっ、何言ってんだよクソオヤジ!」

「あー、つか何? お嬢ちゃん越前君とか呼んじゃってんの?」

「は、はぁ……」

「リョーマでいーよこんなヤツ」

「オヤジ勝手に決めんなよ」

「何? 彼女なんだろ? 名前で呼ばせてやれよ」

「……ま、アンタが呼びたきゃ呼べば?」

「え、い……いの?」

「別に」

「じ、じゃあリョーマ君って呼ぶね!」

 …………ちょっとビックリ……。

 彼女じゃないって否定すると思った……。





「アンタどれ見たいの?」

 なんやかんやで映画を見ることになり、今、映画館にいる。

「うーん……」

 恋愛ものは……イヤ、だ……よね……。

「……アンタの好きなものでいいからね」

「うんっ! ありがとう」


「じゃあアレにしない……?」





「んー! 結構面白かったねー!」

「そうだね」


 空がオレンジ色になってきたころ、私とリョーマ君は公園のベンチでソフトクリームを食べていた。

「……アンタさ、俺のコト好き?」

「は?」

 溶けたソフトクリームが指に伝ってくる。


「俺は……好き……」

「え、ほ、ホント?」

「ウソつく理由、ある?」


「わっ、私も好きな……ってわっ!!」

 ソフトクリームが塊でわたしの手の甲に落ちてしまった。

「ふっ……」

 あ、今鼻で笑われた!?

「かして?」

「え?」

 気が付けば、ソフトクリームの乗った私の手はリョーマ君につかまれている。

 ――パクッ――

「え!?」

「おいしっ……」





☆終わり☆


 ツいてる日

  (ソフトクリームと、君と)


 
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