中編

□飛んだり跳ねたり!1
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昼休み、私はいつものようにお気に入りの昼寝場所にいった。

「んー気持ちいー。ん……眠い……」








 安眠もつかの間、私に大惨事が起きた。

「あー! そこどけ!」

「ん?」

 私が目を開けると、ふと、不自然なものが目に入る。

 上から何かが――人が降ってきたのだ。

「え!? え!?」
 
 ボキ!




「痛―――――――!」

 不幸な音とともに痛みが左腕に走った。

「痛い! 痛い! 痛い―――!」

 痛みのあまり涙が出てきた。

「ぉわ! わ、悪ぃ! とりあえず保健室!」

 私と同じくらいの背丈の男の子、向日岳人。そいつが、私をヒョイっと姫ダッコしてきた。

「え、ちょ、止めて!」

「はあ!? だめだろ!」

「お、重いから! 私重いから!」

「全然重くねえよ!」





 保健室に着くと、先生は驚いた様子で私の腕を見た。


「あー、これは骨折してるね」

「え!?」

 私たちの声は見事にかぶる。これ以外の言葉が浮かばないのだからしょうがない。

「ちゃんとした病院いかないと」

 先生は、私の家に連絡をしに保健室を出て行った。

「あー、本当にゴメン……」

「……」

 正直、キれそう。

「……##NAME1##? 大丈夫?」

 向日とはクラスが一緒で隣の席。今まではあまり喋らなかったが――興味がなかった――、今まで喋らなかった分、いきなり他人からのこの仕打ちに頭にくる。

「…………」

「……なんか俺にできることある?」

「……」


(そうだな……。こんな目に遭わされたんだから、それ相応の……。あぁ、そうだ)

「私の骨折が治るまで私のパシリやって!」

「はあ!?」

「なに? 文句あるの?」

「……ない」

「よろしい。早速だけど飲み物買ってきて」

 私はゴソゴソとポケットから財布を出した。

「え? 俺の金じゃなくていいの?」

「あ、お金出してくれるの? ならよろしく」

「え? あ、や……まあいっか」





「はい、買ってきたぞ」

 向日が買ってきたのはペットボトルのコーラ。

「開けてくれる?」

「あ、そうか」

 ブシュ!

 キャップを開けた瞬間、コーラが勢いよく出て、私のと向日君顔にかかった。

「…………」

「##NAME1##? だ、大丈夫か?」

「冷たい! 冷たいに決まってるでしょ! ベタベタだし……。最っ悪! ……向日君も大丈夫?」

「え? あ、あぁ」

「はい。ハンカチ」

「え、いいのか?」

「どうせ持ってないでしょ? 自分の」

「ま、まぁ……」

「私、2枚持っているから」


「そ、そっか。サンキュ」


「もう……走ってきたの?」

「いや、飛んできた!」

「と、飛ぶ?」

「ああ、体動かしてないとなまっちまうから」

「そんなことしてたから私は腕を折られたのね?」

「ご、ごめんなさい」

(……こう、素直に謝られるとどうも……)

「もうなったことなんだからしょうがない。今度からは気を付けてね」

 コクリと頷いた向日君の背中にあるドアが開いた。


「あ、##NAME1##さんすぐお母さんが来るから」

「あ、はい」

「先生、##NAME1##さんの荷物取ってくるから。ほら、向日君も一緒に行くわよ」

「え。うわ、もうこんな時間!? ……##NAME1##、じゃあな」

「うん、これからよろしく」

「あ、ああ」
















                                  つづく
 

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