中編
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次の日は、もとい今日はちゃんと学校に行ってきた。部活はもう引退しているので、学校が終わると病院へ直行した。
「##NAME2##、こんにちは」
「あ、侑……士?」
「ひどいなぁ、もう忘れてしもたんか?」
「わ、忘れてないよ」
「な、デートしよや」
「デート? でも私、病院から出れないし……」
「病院デートや! それならええよな?」
「うん、いいんじゃない?」
「よっしゃ、いくでぇ!」
「そ、そんなに張り切らなくても……」
「キャ!」
##NAME2##は何に躓いたのかしらないが、倒れそうになる。俺は##NAME2##が転ぶ前に##NAME2##の腕をつかみ、転ぶのを阻止。
「大丈夫か? ##NAME2##はホンマドジやなぁ」
「あ、ありがとう。侑士って優しいんだね」
(前にもこんなコトあったなぁ……。記憶はなくなっても、やっぱり##NAME2##は##NAME2##やな)
「そやで、俺は##NAME2##に対してだけは優しいでぇ」
「はは、私だけかぁ何か特別って感じで嬉しい」
「や、特別やで! ##NAME2##は俺の特別な女の子やで」
「わ! ……よくそんなクサイこと言えるねぇ……」
「クサイとはなんや! 本音やで!」
「はいはい、ありがとう。嬉しい」
##NAME2##はふわりと優しい笑顔を見せてくれた。
(この笑顔、やっぱ好きやな……)
「あ、##NAME1##! 侑士!」
##NAME2##の見舞いに来たのか、岳人が病院内を走ら、こちらに来る。
「あ、岳人」
「え、っと?」
「##NAME2##、こいつは向日岳人ゆうんや」
「えと、こんにちは」
「よお、元気そうじゃねえか! よかった!」
「は、はぁ」
「##NAME2##、自分はテニス部のマネージャーやっとったんや。んでこいつはテニス部やったんや」
「へぇ」
「あ、記憶喪失なんだっけ?」
「はい、そうみたいです。あの、忘れてしまってごめんなさい……」
「はは! いーっていーって! そのうち思い出すだろ!」
「そうだといいんですけどね……」
「おい、敬語やめろよ。なんか##NAME1##らしくないぜ!」
「岳人、それくらいにしぃや。今はデート中なんや」
「別いいじゃんかよ!」
「よくないわ!」
「あ、そしたら向日さんも一緒にどう?」
「まじ、いいの?」
「ええわけないやろ! しっし!」
「いや、どうぞどうぞ」
「……##NAME2##……」
「ほら、いいって言ってんじゃん!」
「……しゃーないわー」
「本当に侑士って##NAME1##に対して甘いよな」
「うっさいボケ!」
「ふふ」
「じゃーなぁ! ##NAME1##!」
「んじゃ、また明日も来るわ」
「うん、ありがとう」
俺と岳人は##NAME2##に手を振りながら病院を後にした。
「……##NAME1##、元気そうでよかったな」
「ああ」
「でも、何か……」
「何や?」
「や、なんでもない」
「そうか?」
「俺、心配だったけど今日病院に来て安心した」
「##NAME2##か?」
「ちげーよ、お前だよ」
「お、俺?」
「そうだよ、だって学校休んでたし、今日来たって上の空で……」
「…………」
「でも、病院にいってお前の元気なとこ見て安心した」
「おおきに」
「……ってハズ! 俺、今ケチャクチャ恥ずかしいこと言った!」
「せやな、ごっつうハズイで、それ」
「うっせえ!」
(……ホンマ、おおきにな……)
また1日経ち、今日は土曜日なので朝から病院に行った。
「おはようさん、##NAME2##」
「あ、おはよう、侑士」
「ん? 今日はおばさん来てへんのか?」
「おばさん? ……ああ、私のお母さんのことか……」
「そうや」
「お父さんは仕事、お母さんはパートだって」
「そうなんか」
(まあ、もうこんなに元気やからな。毎日こなくても大丈夫なんやろな)
「よし##NAME2##、今日は勉強教えたる!」
「えぇ!?」
「じゃないと馬鹿になってしまうで?」
「ううー」