■Novel■

□◆World Of War◆
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「わあぁあぁぁっ!!!!!」
暗闇を裂くような叫び声と共に少年は目を覚ました。
左頬の上で、皮膚に埋め込まれた赤い石が微かに光る。
酷い悪夢にうなされていた。濃い血の臭いが鼻の奥に残っている気がする。
吐き気を抑えて体を丸めたままベッドに座っている少年の背中をそっと撫でる人物がいた。
「リオ、大丈夫か」
深い海のような青の髪を腰まで伸ばした青年。
「…シュウ…」
リオと呼ばれた少年は自分を心配してくれるシュウに体を預けた。
まだ血の臭いが離れない。
「…気持ち、悪い…」
「吐くか?」
「へ…いき……いつも起こして…ごめん…」
「いや…」


▼WOW[World Of War]
幾年か昔。
数人の狂った権力者達が、自身の更なる権力と地位を求めて戦争を開始した。
一部地域の小さな戦争は、《争う事は私達人間の本能である》という思想が現れた事により全世界へと広がっていった。
そして遂に世界中の国が大規模な戦争を始める。
その世界を人々は[WOW]、戦争世界と呼ぶ。

▼WOW:施設
人間は産まれた時から体内に何らかの能力が宿っている。
その能力を、能力石という石を体に埋め込む事で外に引き出し、人間を戦争兵器にするという研究が行われていた施設。
能力石を体に埋め込むことはかなりの苦痛を伴い、その痛みに堪えられない者、また大人や能力の薄い者は、能力石の力に飲み込まれ奇形の生き物に変化し、死んでいった。



―――そんな世界は終わった筈だった―――
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