文章部屋。
□未タイトル(工事中)
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花びらが舞う。薄桃色の絨毯の上を踏み締める。またこの季節が来た。彼はいないというのに、どうしても探してしまう。
視線を移せば、傍らに彼がいて微笑んでいてくれる気がするのだ。
「…私らしくないな。こんな風に考えてしまうのは」
彼は見守っていてくれるのに。遥か彼方から全てを包み込んでくれている。
わかっている。真実をこの目で見たから。なのに、探してしまう。割り切った筈なのに、前だけを見ると誓ったのに。
あの時のようにもう一度触れたいと、時々思ってしまう。
「まだまだだな…」
美鶴は首を振る。深く刻まれた想いは時折こうして傷口が疼く様にフラッシュバックする。
すっかりこの痛みにも慣れた。寧ろ彼女自身が無意識に望んでいるのだ。彼を忘れないために。