萌尽きた物

□天使人間*(拍手連載)
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『ソレ』に気付いたのは情事の後だった。

怠い身体をベッドに投げ出し、煙草を蒸しながら幸村の背をぼんやりと見つめる。
その時だった。
「……?」
幸村の背。肩甲骨の辺りに小さく白いモノが蠢いてる。

(一体なんだ?)

ジッと目を凝らして、ソレを見る。
小さく蠢く【ソレ】は、見ようによっては何やら鳥の羽根にも見えた。
煙草の火を消し、身体を起こす。そして、気になるソレに触れてみれば。

―――サワッ

「ぎゃぁぁぁぁ!」
「なっ!?何でござるか!政宗殿!どうなされた!?」
いきなりあげたオレの悲鳴(奇声)に、さっきまで情事処理をしていた幸村が慌てて振り返った。
「おっ、…オマエ…その背ッ…!」
「背?背中がどうかしたのでござるか?」
オレの言葉に幸村は首を捻って自身の背を見ようとするが、
「?何もないでござるよ」
「何もない訳、あるか!ボケェェェ!」
顔を引きつらせながら、幸村へと怒鳴り散らす。
「し、しかし!オレには何も見えないのだが…!」
「風呂行って、背中見て来い!」
「ぐはぁ!」
幸村の横ッ面に、蹴りを入れるとオレは身仕度を整えて、幸村の部屋から飛び出していた。

パニくっていた。そうとしか言い様がねえ。

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