萌尽きた物

□ダブルブッキング!*(四万アンケ複数)
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ダブルブッキング、ってヤツだ。
簡単な話だよ。


目の前に小十郎。真横には幸村を携えながら政宗は硬直していた。
フツーの状態ならさしも驚いたり固まったりしなかっただろう。状態と云うかシュチュエーションが悪かった。
偶々ムラムラきて、偶々用伝を言いに来た小十郎が。
それで……まぁ、コトをしようとした処に偶々、遊びにやって来た幸村が。
肌蹴た薄衣、乱れた呼吸、
硬直するオレ。
ワーオ、Bad timingにもホドがある。
誰が悪い?昼間からサカったオレか。偶々やってきて誘いに乗った小十郎か。アポ無しでやってきてKnock もなしに障子を開けた幸村か。

……いや、そんなコト言ってる場合じゃねぇな。
簡単に衣服を直し、政宗は幸村と向き合う。
「政宗殿。ご説明を」
「あぁ…まぁ…それは、そのなァ」
バリバリ頭を掻き、政宗は何とか言葉を探す。

何て言えばいいんだ。
大体、幸村も小十郎との関係を知っているハズなのにな。
もちろん、小十郎も幸村との関係を知っている。
なのに、なんでオレばっかり怒られるんだ?
「政宗殿」
つーか、オマエは何で怒ってるんだよ。
あぁ…睨むなよ。もう。どーすりゃいいんだ…。

「真田も加えてやりゃあいい話でしょう」
「「は?」」
今まで黙していた小十郎が提案した一言に、政宗と幸村は『何を?』と云った顔をする。
「鈍い御方ですな。いいですか、政宗様。こやつは退け者になっているから腹を立てているのですよ」
「……えぇ?」
なんだその理屈、と政宗は顔をしかめたが。
「そうでござる!見えない所ならいざ知らず、見てるのに某だけ抜け者はヒドイでござる!」
「えぇ!?」
コイツ、バカ!?何言ってんだよ!
「片倉殿とて蔑ろにされれば面白くないハズでござる」
「そりゃ、な。ですから政宗様」
「あーもう!分かったよ!…二人まとめて相手してやるよ!Come'on!」
半ば自棄だと分かりながら、政宗は幸村の腕を引っ張り自分に抱きつかせる。
「政宗どのっ」
抱き締められて倒れそうになる政宗の背を、小十郎が支える。
「では、二人がかりで愛でさせて頂きます」


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