萌尽きた物

□2011年五周年
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酒気に顔を赤くした政宗殿が、胸元に倒れ込んでくる。
「サミイ」
「だから深酒は止した方が良いと申されたではござらぬか。折角の…」
「しゃらーっぷ…黙れ。幸村のクセに生意気だぜ」
ぐりぐりと胸元に頭を押し付けて、政宗殿が悪態を吐く。
「…全く。酒癖が悪うござる」
溜め息を吐いて政宗殿から酒器を遠ざける。

政宗殿は酒が好きだが、強くはない。だから自分と盃を交わすと、大体こんな風に絡み酒になる。

「ほら政宗殿」
猫をあやすように顎を擽り、上を向かせれば鼻掛かった声でくふん、と鳴く。
「…うぅー…ゆきぃ」
「猫か、やや子の様ですな」
「るせ…」
小さく悪態吐くと政宗殿が口を吸うてくる。

酔った政宗殿は素直だ。
感情も、コトバも。
まぁ、それを見越して酒を勧めているのだが。

「ん…ちゅ…んぅ」
酔うて力の入らぬ政宗殿の体を膝上に抱え上げれば、自然と政宗殿が己の首に両腕を回してくる。
「―…はっ」
口付けが深くなる。
薄い唇を軽く噛んで舌で舐め上げると、政宗殿の息が微かに上がる。
「…ゆきむら」
とろりと、微睡んでいる様な視線で見詰められると正直抑えが利かなくなる。
前衿の袷から手を差し入れて、微かに強調し始めている乳首を指先で擦る。
「ぁ、」
「やはり、お可愛らしい」
「んぅ…っ」
クリクリと指先で乳首を刺激すれば、我慢が利かなくなったのか政宗殿の腰が揺れる。

「NO…ソコばっかり嫌だ」『コッチも』と政宗殿が自分の手を取って胯間へ誘う。
すっかり勃ち上がっている其処は、布地の上からでも十分に分かるくらい熱を持っていた。
普段、これぐらい素直ならば…と思ってしまうが、その考えはすぐに飛ぶ。

素直な龍など、組み敷いた所で面白味など何もない。たまに見せるから、愛しさも増すと云うものか。

笑いながら撫でていた手を離し、着物裾を裁いて下帯を解けば、既に蜜を垂らした屹立が姿を表す。
先端を指先で捏ね回して軽く刺激を与えてやると、政宗殿が身を捩って屹立に滑らした手を封じてきた。
「ソッチは自分でも出来る…う、しろに…ァ」
酒の所為か、はたまた羞恥か。眦を朱に染めた政宗殿が腰を突き出してねだってみせた。
「はしたのうござるよ、政宗殿」
「我慢、出来ね…」
確りと肉付きの良い尻を撫でて奥の後口に指を滑らすと、政宗殿の声が甘く上がる。
平素からでは考え付かない様な政宗殿の声は、己の箍が幾つ在っても足りやしない。
早く己の熱塊を打ち込みたいのを必死で抑える。
「政宗殿、既に内奥が熱く柔らこうござる」
「バカ…ッ、あっ、アアッ…!」
躍動する内壁を押し上げるようにして指を動かせば、屹立は益々震えて蜜を垂れ流す。
「あ、ぁ…っ!アァ」
「…まさむね殿」
忙しなく息をする彼の唇を舌先でなぞり、そのまま塞ぐ。
指を増やして動かす度に、政宗殿が体を揺するのだから口付けが幾度も離れ、その度に酒精の香りと政宗殿が身に付けている薫香の匂いが一段と高まってき、夢中で舌を絡めた。



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