隣人

□隣人〜Prologue7〜
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あの傍迷惑な絶叫から、約半日後。
幸村は一睡もせず、その足で職安に向かいたんまりと求人票のコピーを持ってきた。

「何だァ?幸村。新しく仕事すんのか?」
必死の形相で求人票に見入る幸村に、元親は呆れ顔で言った。
「両立なんて出来ねーだろーが」
「まぁまぁ、いいんじゃない?…幸村だって男だったんだよ」
昨日の事を少なからずも知っている慶次は、求人票を凝視する幸村をニンマリと見下ろして『恋だねぇ』と呟いた。
「ハ…?全然意味ワカンネ…」
疑わしげに眉を寄せている元親をおいて、慶次は幸村の隣に腰を下ろした。
「何か良い仕事あった?」
「イヤ…これといって…」
コピーに目を落としたまま、幸村は言う。
「ちょっと見せてみ」
言いながら、慶次は幸村の手から求人票をヒョイと掴み上げた。


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