隣人

□ある雨の日(フリリク)
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それはある雨の日の事だった。

「バッカ!そんなん、入る訳ねーだろ!」
「いや、大丈夫です…。ホラ、入った」
ぎちぎちと、音がなる。
「いや!…ダメだって!変な音してんじゃねーか」
「大丈夫で」


    ガコン!!

「あ」
「Shit!やっぱ無理だったじゃねーか!」
ごん!と政宗は幸村に拳骨を喰らわせる。
「い…イタタ」
「ったく。どーすんだよ…」
溜息と共に政宗は、目の前の物体を見下ろした。
政宗が見つめる先にあるもの――、洗濯機である。
先程、ほんのついさっき、
幸村の無理な押し込み…もとい、詰め込みによって命の灯を消した。
「―…どーすんだ…まだ、洗濯残ってんだぜ?」
洗濯機からは、詰め込まれた幸村の服やパンツやらが、はみ出ている。
「ハハ…」
「笑い事か!」
ごきん!ともういっぱつ政宗は幸村を殴る。
とは云え。
幸村を殴った所で、洗濯機が直る訳ではない。
ただでさえ五月雨梅雨、長雨。お天気オネーサンもニコニコ笑顔で『今月いっぱい土砂降り!お洗濯は諦めましょう!』と、宣う。
二人のウチには乾燥機があるからあんまり関係がないのだが、元となる洗ってくれる物、洗濯機が無ければ無用の長物だ。
洗濯カゴの中にはまだたくさんの服たちが、待機している。
「そうだ!」
「An?!何だよ」
腕を組みながら洗濯機を見ていた政宗は、素っ頓狂な声を上げた幸村にびっくりする。

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