キリリク

□Later(キリリク)*
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―――面白くて、珍しいモノが手に入った。

「まっ…政宗殿っ…!これはっ‥!?」
口元に笑みを称え、目の前の柔らかな髪をわしわしと洗う。
「いーから黙ってろ。口に入ると苦ぇぞ」
そう言うと、幸村は大人しくなった。
手に付けた粉は水分を含むと、みるみるうちに泡立ち甘い匂いがする。

『なんだか、でけぇ犬洗ってるみてぇだな。』

やはり、笑いが止まらない。
「…ま…さ…宗殿っ!…目が痛いでござる…!!」
「バッカ!目ェ閉じてろ!あぁもう、遅いか!今、洗い流してやるよ!」
慌てて湯桶に湯を汲み、幸村の頭に何度もかける。
「―ほら、顔拭け。」
手拭いを差し出すと、幸村は小さく呻いて顔を拭った。

「政宗殿、一体アレは何でござるか?」
自分の髪に手をやり、「何だか、花みたいな匂いがするでござる」と言った。
「あー、これは『Soap』ってヤツで、舶来の物だ。体洗う時に使うんだよ。」
横にあった、白磁の器を目の前に持って来る。
「泡は余り頂けねぇが、洗い流せばさっぱりするしな。オレは気に入ってる。―お前は嫌いか?」
「…ふむ…。何だか変な感じでござるなぁ。」
幸村は尚も自分の髪をわしわしと掻いた。
「何だよ、オレと同じ匂いは不服か?」
「いや!そ、そ、そーゆう訳では!!」
拗ねた様に幸村を見れば、慌てふためいて弁明する。

本当に、コイツはCuteな奴だ。
オレにはトコトン甘い。惚れた弱みってヤツなのか。
それを知ってるオレはトコトン付け込んでる。その《弱み》ってヤツに。
だから、普段一緒に入らない湯屋まで押し掛けてきた。
その時の幸村の顔は、今思い出しただけでも笑いだしたくなる。




さァ、真田幸村。

この駆け引き

お前は、――どう出る?
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