キリリク

□ご褒美(キリリク)
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「あだま…イダイでござるぅ…」
幸村は布団の中で悶えていた。
「阿呆か、お前。幾ら何でも飲みすぎだろ」
政宗は呆れた溜息と共に、幸村の前に座った。
「…うぅ…」
幸村は痛い頭を抱える原因を思い出す。

今思い出せば結構無茶をしたのかも知れない。

――成実殿と片倉殿。

二人から勧められるままに杯を傾けた。すでに記憶が飛び掛けているし、この部屋にどうやって来たのかも憶えては無いが、きっとその時は楽しかったに違いない。


………多分。

「お前なぁ、成実も小十郎もあぁ見えてザルなんだから張り合うなよ」
「さすれば…止めて下されば良いものを…」
幸村は恨めしそうな顔で政宗を見上げる。
「Ha!楽しげに飲んでるのを邪魔するなんて伊達男のする事じゃねぇだろ。それに、自業自得だろ」
そう言って、政宗は横に置いてあった包みを幸村に手渡した。開けてみると、なにか…黒い固形物が二つ。
「…何でござるか…?」
「薬だよ、クマノイ。苦いけど二日酔いには効くぜぇ」
幸村の掌の中にある黒い固形物は、どうみても『薬』には見えなかった。
黒い碁石を割った様な、黒曜の色、小指の爪程の大きさの破片。


……本当に、薬なのだろうか?
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