キリリク

□にゃんこにゃんにゃん!(キリリク)
1ページ/3ページ

「―――あとは、ゲンノウニンジンとショウアオクビ…?なんだそりゃ?これでいいだろ」
ぶつ切りにされた人参、大根をボチャンボチャンと鍋にぶち込んでいく。
「んん…?竜の髭ェ?…んなもんネェよ!」
『ムチャクチャな事云いやがるぜ、この本!』と政宗は鍋から玉杓子を掬い上げた。


怪しげな言葉を発しながら大鍋を掻き混ぜているのは、この城の主人・伊達政宗である。
政宗が云う【この本】とは、いま巷で大流行りの本《特効!恋愛滋養強壮薬百選〜彼もイチコロ!恋するヲトメ大・作・戦〜》と云う、アヤシゲ極まりない本だ。
ちなみに政宗が開いてるページは《子猫の様に愛らしく!殿方の心を誘惑しちゃう秘薬》と、また何とも怪しい煽り文句のあるページだった。
「ふふ…。このクスリが出来たら、幸村はオレの虜に……!」
本を胸にぎゅっと抱き、政宗は想像の翼をはばたかせる。



〜〜☆政宗妄想劇☆〜〜

『政宗殿、今日は一段と可愛らしゅうござるな』
『…な、なんだよ。…アンタ。男に可愛いとかオカシイぜ』
『いや。前に逢うた時より今宵は一段と愛らしい…。――政宗殿!』
『あっ!何すんだ、急に…!やめ、真田ッ――』


  暗転


  〜妄想劇・完〜

「なーんてな!」
うへへへ!と玉杓子を振り回し、政宗はその場をくるくる回転し始める。
政宗が考えている事はこうだ。
この(怪しげな)秘薬で幸村を誘惑しよう!と云う魂胆なのだ。
「オレにメロメロになった幸村が…うへへへ」
カンッッッペキにトリップしながら秘薬を作る政宗の姿は、のちに『伊達家七不思議』のひとつに数えられる事になる。
「よっしゃ!出来た」
そして、出来上がった薬(政宗曰く、惚れ薬)を政宗は一気に飲み干したのだ。

.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ