キリリク

□繋ごう*(キリリク)
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政宗は幸村の後ろ頭を見ながら思う。


『何で、テメーの手は黄粉餅持ってんの?』と。


  【繋ごう。】


幸村に連れられてやってきた上田の春祭り。
楽しいはずのデートなのに、全然楽しくないのには訳があった。

【幸村が手を繋いでくれない】

理由とすればたったそれだけ。馬鹿らしいかもしんないケド、オレにとっちゃ大事な事だ。
「政宗殿も召し上がりまするか?」
大量の黄粉餅をひとつ差出し、笑いながら云う幸村に
「…いらねーよっ!」
苛々しながら、政宗は怒鳴り返した。

幸村に『好きだ』と云われて、オレは天にも昇る勢いだった。
嬉しかった。
一目惚れなんて信じてたわけじゃないけど、幸村と切り結んだ時からずっと気になっていた。
「ああ、好きなんだ」なんて分かって。
そして、幸村も同じ気持ちだった。
すごく、嬉しかった。
ただ、誤算があった。


『お慕い申し上げる。政宗殿』

告げられた言葉と同時に、口付けられた。
一回きりの口付け。それから進展しない仲。
こいつがオレをLeadしねぇまま、不埒な思いダケが募って季節は過ぎていく。
『いっその事、襲い掛かってやろうか…!』
前を歩く幸村の頭を睨みつつ、政宗は物騒な事を考え始めた。


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