キリリク

□すいーとすいーと?(キリリク)
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と、障子の向こうから声が聞こえてきた。
「さ……」
「………殿は…」
「?」
一つは幸村の声だ。もう一つは…。
「だからさ、甘やかしてんじゃない?竜の旦那のコト」
猿飛佐助。
佐助のその声に、台詞に、政宗の眼がきつくなる。
聞かなければ良いのに、耳に入るのが恨めしい。
「甘やかしてなどおらぬ」
否定する幸村に対し、苛立つように佐助が言い放った。
「いーや、甘やかしてるって。旦那が何も言わないのをいい事に、言いたい放題じゃない」
「……それは何時もであろう。政宗殿が某にキツク当たるのは」

ナンだと?!

幸村の一言に、政宗はキレ掛けた。
『んじゃ、何か!テメー腹ン中じゃムカついてたってか…!』
イライラ、ムカムカ。
障子の向こうで沸き立つ殺気に気付いた様子もなく、幸村は話を続ける。
「素振り、癇癪、ワガママ…色々あるが」
「ほらぁ、怒ればいいのに。腹立ててるんならさぁ」佐助が言った言葉に、幸村は大声で。
「腹など立てるわけがなかろう。馬鹿を申すな!」
「!!」
その言葉に、さすがの政宗も驚いた。
もちろん、佐助も。
「某は政宗殿が好きだから、愛しておるから、どんなに罵られようと構わぬ!」
怒気の孕んだ声に、政宗の怒りが霧散していく。

『好きだから』

『愛してるから』

いつだって、幸村はそう言っていた。
どんなに罵っても、冷笑しても、幸村は笑ってオレを。
「…何だよ」
自分だって幸村に好きで辛く当たるわけじゃない。
ようは照れ臭いのだ。
真直ぐな幸村の気持ちに、生来の捻くれた性格からか、素直に表現できない。
だからどうしても幸村に辛く当たってしまう。
幸村が優しければ優しい分だけ。

でも……。

「ちっと素直になってみるかな……」
ポツリ呟いたその時、
「それに、某は政宗殿に罵られるのが好きだ!詰られるのも、侮蔑されるのも、たまらんぐらいに大好きでござる!わざわざ政宗殿が某を罵りに足を運んで下さったかと思っ「違うわ、ボケがぁぁぁぁ!!」
政宗の怒りは鉄拳となり、幸村に直撃した。
幸村の偏った性癖が露見し、政宗が少し素直になったのは、それから直ぐ、本当に直ぐのコト。


………しかし。

「っく!…テメ、幸村!ねちっこいんだよ…!この単細胞ヤローがっ!」
「ああ…!政宗殿、もっと!もっと罵って下され!」
政宗の中に自身を埋めながら、恍惚な顔を見せる幸村がいた。
「テメーなんか大ッ嫌いだ!」
また、その言葉が幸村を喜ばせるのだが。
政宗がそれに気付き、学習するのは、まだまだ先の事である。



………………………………

黒崎流様!
大変お待たせしました!
しかも、シリアスな展開から、後半ギャグになって申し訳ありません…!!
甘いどころか、すっぱい匂いがします!このサナダテ!本当、申し訳ありませんでした!
楽しんで頂ければ幸いです。リクエスト有難うございました!

読んで下さった方へ!
甘い…は、何処に行ったと云われてもおかしくないです。すみません!
もっと精進いたしま、す…!
読んで下さって有難うございました!

※お持ち帰りは、黒崎流様のみお願い致します。※


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