キリリク

□サマーデイト!(フリリク)
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「Hey!待たせたな!」
スパーン!と障子がひしゃげる勢いで現われたのは、話の渦中の人。伊達政宗本人だ。
「あんまり時間がねえから、とっとと本題に入る」
云うなり政宗は、二人の前に大きな一枚の紙を拡げた。
そこには力強くデカイ文字で。
【ラブラブ夏祭り!〜真田とオレのバーニングサマー〜】

「「………。」」
余りの頭の悪いネーミングセンスと、嫌な予感がズバリと的中して、小十郎と佐助は絶句してしまう。
「これからMisstionの内容を説明する!」
「えっと、その前に質問があるんだけど」
怖ず怖ずと佐助が手を上げると、政宗はぶすくれた顔で「何だよ」と言った。
「……すごーくすごぉぉぉく、嫌な予感がするんだけど、その夏祭りで何かする気?」
その言葉に政宗は驚愕の色を浮かべた。
「…バッ…カかてめーは!真田からのdateの申し込みだぞ!?しかも夏祭り!夜!こんな素敵シュチュエーションねーだろーがぁぁ!」


大好きな彼に手を引かれて、二人で巡る夏の屋台☆
いつもよりオシャレなオレに気付いてくれるかな?
距離が近い分、ドキドキも聞こえちゃうかも☆☆
このドキドキを止めてくれるのは、彼のKissだけ…☆

「…………なんて事になるかもしんねーだろぉぉがぁぁぁ!」
ならないし。ならないと思うし。それ以前、そんな少女漫画的な事、あの旦那がヤルワケないでしょ?
どんだけ乙女な発想すんだ、アンタ。つーか、キモいわ!!
と、猿飛佐助は思うが口には出さない。
「あの真田がそんな事をするワケがないで「シャーラァァップ!!」
バチーン!と政宗が小十郎の横ッ面をひっぱたく。

ほら、こうなった。優秀な忍びは先が見える。
「つべこべ言わせねぇ!テメーらは今夜のdateの為に、オレの手駒として動け!」
毛利元就まがいの政宗の台詞は、さすがの優秀な忍びも先が読めなかった。
「―…はぁ!?手駒っ…て何?どーいうことだよ」
「読んで字の如く。オレと真田のSummur date成功の為の手駒だ」
当たり前だろ、みたいな顔をしながら政宗は佐助に言い放つ。
「…………………(聞きたくないけど、どうせ聞かされんだし)具体的にはドンナコトするの?」
げんなりしながら佐助が聞くと、政宗は意気揚揚と今回の計画とやらを喋り始めた。
「まず、ちんぴらに化けた小十郎がオレ達にちょっかいを出す」
「お言葉を返すようですが、一発でバレると思います。それに、何処の国に実の主人に喧嘩をフッ掛けなくてはいけない部下がいるのですか」
政宗の言葉に小十郎は淡々とツッコミを入れる。
「――そこは…うー…あ〜ホラ、お面でも被っ「絵面的に嫌じゃないんですか?」
小十郎に再び突っ込まれて、政宗は少し考えたのち、
「じゃあ、小十郎は別の仕事をするとして……次にオレが猿飛に拐われる」
「待って。何でオレが竜の旦那拐わなきゃいけないの?」
幸村に見つかりでもしたら、減給どころかこの世とオサラバしなきゃいけない。
何故、そんな恐ろしい事を自分がやらねばならんのだ!

「ヒロインは暴漢に連れ去られたり、誘拐されたりするだろ」

ヒロインってタマか!自信満々で言うな!ヒロインは刀六本も振り回さないし、崖から馬で飛び降りたりしねーよ!

心中悪態を吐いてた佐助に政宗はトドメの一言を放った。
「オレを拐った猿飛を真田が格好良く倒して、互いに抱き合う!どうだ、スゲーCoolな演出じゃねぇ?!」
やっぱりオレ倒されんのかい!叩きのめされんのかい!そんな役か!
「?どうした、猿飛。目から血が出てるぜ?」
「忍者も人だからねっ!悲しいと涙が出るもんなのよッ」
涙どころか血尿もでそうだ。
「悲しむ事はねーよ。真田はいい男だから、必ずオレを幸せにしてくれるし、オレも幸せになる気満々だからな!」
えっへん!と政宗は胸を反らすが、佐助が悲しんでるのはそんなコトではない。それに気付いているのは、佐助の隣で目頭を押さえている片倉小十郎だけだろう。
「よし、打ち合せ終了!オレはこれから真田を悩殺する浴衣をChoiceしてくる!」
『じゃあ、祭りでな!』と言い残して、政宗はルンルン気分で部屋から出て行ってしまった。
残された二人は、顔を見合わせて溜息を吐いた。

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