キリリク

□再認識(フリリク)
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朝、起きると目の前に眼面蒼白のガキがいた。
『誰だ、このガキ』と寝呆けた頭で思っていると、
「政宗どの…そ、某…縮んではござらぬか……?!」
「………………an?」
一瞬で目が覚める台詞を寄越した。




「まっちがいないねー。弁丸様、真田の旦那だよ」
笑いながら話す忍の言葉は、ひどく冗談めいて聞こえた気がした。
「Jokeだったらブッ飛ばす。むしろ、ブッ殺す」
「いやいやいや!冗談で命落としたくないよ、オレ様!」
猿飛の弁解はもっともだ。
Jokeにしちゃ出来が悪すぎる。自分の命を賭けてまでする悪戯にしては、手も込んでるし(むしろコイツならやりかねん、と思わせる当りがいけないんだろーが)
ちらりと自称真田幸村と名乗る幼子を見れば。
「……………。」
意識は遥かカナタ。
そりゃま、そうか。小さくなったと思っていたが認めたくなくって、夢なんじゃないかなんて否定してた所に
「間違いないね、弁丸様。真田の旦那だよ」
と、いう信頼ある忍の一言。
……脱け殻になってもおかしかねェよ。

「…でも、何でいきなりこんなんなっちゃったんだろうねぇ?竜の旦那、なんかしたんじゃないの〜?」
「何でオレが。んなコトしなきゃなんねーんだよ」
口を尖らせて政宗は反論する。
する意味がねーだろ、と言ってやれば「それもそうだね」と猿飛は納得した。
「ん―…じゃあ、まぁ?原因が分からない事にはどーしようもないけど、解毒薬くらいは作ってみるよ。多分、薬かナンかだと思うんだよねぇ」
ガリガリと頭を掻きながら猿飛が言う。
「薬なのかよ?」
「分からないってば。まぁ、このままじゃ甲斐に連れてけないし。しばらく旦那の事、頼むね」
『じゃあ』と猿飛は使い烏に掴まり、空へと消えた。
「…いつまで預かっときゃいーんだよ。まさか一生じゃねぇよな」
魂が抜けた幸村を横目で見つめた。

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