キリリク

□甘い昼下がり(キリリク)
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天気が良い上田の昼下がり。
幸村は政宗が持参した団子に舌鼓を打っていた。
「うむ!美味でござる!」
「喜んでくれて嬉しいぜ。前に幸村、此処の団子好きだっつーから」
口いっぱいに団子頬張って、幸村は政宗に笑顔を返す。
「しかし…本当に団子好きだな、オマエ」
両の手いっぱいに買ってきた団子は、すでに数える程になってしまった。

いかにも「幸せでござる!」と云うような笑顔を浮かべながら団子を食べる幸村を見て政宗は、ちょっとした意地悪を思いつく。
「なぁ、幸村さ」
「ひゃんでほざろうは?」
もぐもぐと口を動かして幸村は政宗を見る。
「オレと団子、どっちが好きだ?」
「んん?」
茶を啜り、口中の団子を嚥下した幸村ははっきりと云う。
「そんなの政宗殿に決まっているでござる」
「なんだ、いやにあっさり答えるじゃねえか。」
政宗はちょっと複雑な気持ちだった。
悩まれたらそれはソレで、腹ただしい物があるし、(オレは団子と同等か!)かといって、即答されても味気ないものだ。
「だって、考えるでもないでござろう。団子と政宗殿では対象が違うと云うものでござる」
「…ん、まぁ」
そりゃ、そうだケドよぉ。と、政宗はもごもごと口籠もる。
そんな政宗を見て幸村は笑う。
「…では、政宗殿は某と片倉殿。どちらが好きでござるか?」
「えっ?!」
唐突に突き付けられた質問に政宗は目を剥く。
「どちらが好きでござるか?」
もう一度繰り返されて、政宗は悩んだ。


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