キリリク

□甘い昼下がり(キリリク)
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幸村の事はもちろん好きだ。
好敵手であり、友であり、恋人である。無くてはならない唯一の人。
しかし、それは小十郎も一緒だ。
部下であると同時に、兄であり、友である。やはり、政宗にとっては無くてはならない人物だ。
「んん…Umm…??」
「ふふ。そんなに悩まれると片倉殿に妬けますな」
政宗の髪を幸村はゆっくりと梳いた。
なんだか、やり込められたようで政宗は面白くない。

自分のほうが年上だし、背丈もあるのだが、時折見せる幸村の男の仕草に自分はどうも、弱い。
「じゃあ、オマエは?虎のおっさんとオレ、どっちが好きだよ?」
少しだけぶっきらぼうに言う。この口調は照れ隠しだ。多分、それも知られていることだろう。
「う…。お、お館方様と…でござるか」
梳いていた手をピタリと止めて、幸村は腕を組んでうん、と考え込む。
さっきより真剣な顔で「うぬ」とか「でも」とか、言い始める幸村を見ながら政宗は頬杖を付き、口元をほころばせる。

今、幸村の頭の中は自分の事でいっぱいなハズだ。
どんな事であれ、政宗はそれが嬉しくて堪らない。いつから、こんなにになったんだ、自分。
でも、構わねぇさ。事実、嬉しい事には代わりねぇんだ。
ぽわん、とした気分でいたら不意に幸村が頬に口付けてきた。
「…?!」
余りにも不意打ち過ぎて、政宗の顔は一瞬で真っ赤になる。
「やはり、政宗殿の方が好きでござる」
「えぇ!?」
政宗は驚いた。
いや、嬉しいけど!
てっきり「決められないでござる!」とか言いだすだろうと思っていたからだ。
「何で…!」
「イヤ、何でと申されましても」
驚いた様子の政宗に苦笑しながら、幸村は言った。

「お館方様よりも、政宗殿の方がずっとずーっと好きだからでござるよ」
「………バッ!!」
もう、その言葉と笑顔に政宗はただただ顔を真っ赤にするしか術はなかった。
急上昇する顔の熱と早鐘の様に打つ心臓を何とかやり過ごす為、政宗はそっぽを向く。
「政宗殿?こっちを向いて下され」
笑いながら身体を幸村は擦り寄せてくる。
「っさい…」
恥ずかしい。
「ホラ、一緒に団子を食すでござるよ」
「いらねぇ―…」
密着した所から、自分の熱が伝わっていきそうで政宗はますます恥ずかしくなる。
「甘くて、美味しいでござるよ?」
「オマエ一人で食えよ…」
未だ尚、笑いながら語りかけてくる幸村を腹ただしく思いながら、政宗はぼやく。
「では、遠慮なく」
言い終わると同時に口付けられる。
びっくりして、それこそ声も出ない政宗を抱き締めて、幸村は言った。
「某は団子よりも甘い政宗殿が食べたいでござる」
「―――……なっ!」
政宗が抗議の声を上げようとした瞬間。




「あのさ、そーゆーのは二人っきりでやってくれないかなぁぁ!!?」
今まで黙って茶を啜っていた佐助が怒声を張り上げたのだった。


そんな上田の、甘い昼下がりの出来事――――。




………………………………
武者ビスタ様。
お待たせしました。
もう、リクに沿っているかどうかも不安(汗)…甘い?甘いどころか、しょっぱいですね…!(謝)
キリリク有難うございました!

読んで下さった皆様へ。
幸村の言動が多少、親父臭いですね(爆)もうダメだ…!!!
甘いのを書けるように精進します!
有難うございました!


※武者ビスタ様のみお持ち帰り可でございます。

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