モノオキ

□あにばぁさりぃ
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夏が好きだ。

燃える様な
夏が。

全ての生命が
美しく煌めき
生命力に溢れている。


竜が産まれたのも。
―――――夏だ。


それを知ってからは

ますます夏が
――――好きになった。

今日は、最高の一日になるハズだった。

急ぎの政務は全て終わらせ、面倒な事は全て佐助に押しつけて、幸村は今日この日の為に奥州までやって来たのだ。

「政宗殿は喜んでくださるだろうか…。」
幸村は、自分の懐に忍ばせた包みを握り締めた。



今日は政宗の誕生日だ。
それに合う様に甲斐を出立し、それに政宗を驚かせる為に、今回は書状を出さなかったのだ。


―――そうだ。
きっと、驚くに違いない。

いつもは冷たいあの顔も。今日は、満面の笑みで迎えてくれるに違いない。
あの強気な口調も。
今日は、優しく接してくれるに違いない。



『なんだよ!来るなら書状の一つでも寄越せよな!
…HA?誕生日?お前…わざわざその為に?嬉しいぜ。幸村…。今日はゆっくりと寝物語でも…』

――――なんて。

妄想は果てしなかった。
幸村の脳内では、それはそれは桃色な世界が繰り広げられていた。

確実に込み上げてきた笑みを、クッと堪えようとした
が………無理だった。
政宗の事を考えると、すぐに顔にでてしまう。
身体の奥が熱くなる。
早く。
早く、貴方に会いたい。

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