モノオキ

□身に付けているだけで
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「政宗殿、六文ありませぬか?」
「――――は?」

唐突に。
それは、唐突過ぎるくらいの申し出だった。
いつものように、縁側で茶を啜り、菓子を摘みつつ何気ない会話をしていたのに、何処からその単語がでてくるんだ。
「…お前‥、路銀でも足りなくなったのか?」
「違いまする。で、六文お持ちではないのでしょうか?」
尚も言ってくる幸村に『オメェの首に掛かってんじゃねぇか!』と、言う言葉を言い掛けたが、あまりにもその顔が真剣なので。
「…ちょっと、待ってろ」
云わんとする事が分からないが、俺は自由になる金を探しに私室へ戻った。


チャリ、チャリと財布を漁ればきっちり六文。
あったらあったで、何だか腹が立つものだ。
自分に種明かしされてないだけだからか。

「ほらよ、六文。」
取り敢えず幸村の隣に戻り、手渡すと
「片じけのうございます」
と言って幸村は受け取った。
そして、自分の首に下げていた真田の印を外した。
「…………?」
政宗には全く幸村のやることが分からなかった。
幸村は結び目を解き、そこに通っていた六文を膝の上に滑り落とし、そこへ政宗から受け取った金を新たに通していく。
「…一体何がしてえんだ…?」
全ての金を通し終え、幸村は再びそれを首に掛けた。
チャリ、と手で首の六文銭に触れながら幸村は俺を見た。
「これで、某はいつでも政宗殿を身近に感じる事が出来まする。」
「……アホか」
俺は呆れた様に息を付いて見せると、幸村が俺の手に今までしていた六文銭を握らせた。
「いつも一緒で御座る」
『持っていて下され』と。

何だか今日の幸村は、ヒドク弱気じゃないか。
しかし、何があったかなんて聞いてやる程俺はお人好しじゃない。
「Okay.三途の川で待っててやっからな」
なんて、笑いながら幸村に言ってやると満足そうに笑い返した。




終           
………………………………

有りがち的な六文銭ネタでした。あぁ…!これ、100人中/100人が考えてそう!(爆)
そんで、これの途中に幸村の話し思いついて…あぁ、もう、順番ダメダメです!
やっぱ根っからのギャク体質なんかなぁ(脳)
1Pとゆー短い話ですが、シリアス話としては簡潔にまとまった方だと思ってい、ま、す…(ドウナノ)

こんな駄文にお付き合い下さいまして、ありがとうございました!

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