モノオキ

□蒼天月/紅日天
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―――重い。重い。
―――暑い。暑い。


うだる様な暑さに、さしもの独眼竜もへばっていた。一国一城の主が、着物の袖を捲り上げ大の字で畳に寝転んでいる。
文机には、書きかけの書状や読みかけの本。

「shit…あまりの暑さに何もする気がしねえ……」

手をウチワの様にパタパタと、顔の前で扇ぐ。

開け放った障子からは、容赦無く太陽が自分を照らしていた。


「――チッ」
舌打ちをし、太陽を睨む。


ああ、くそ。
――――忌々しい。
暑いのは嫌いだ。


熱い。熱い。熱い。
―――――太陽。


―――あ。
「アイツも、
暑苦しい奴だったなぁ…」

どうしてるかな。



紅く。紅く。
その身までも、焦がしてしまいそうな紅。
戦場で振るう弐槍は、雄々しき紅。



――――真田 幸村


一目で分かった。


こいつは強いって。


相対するものもあったが、俺と同じだって分かった。


あいつは、
紅が良く似合う。
この太陽の光を
熱さを
象徴するような赤が。

まるで、その炎がうつってしまったかの様に。


まるで、太陽の熱がこの身を焼いてしまうかの様に。

あの、戦いから何故か
胸に熱さが残った。


不快ではない。
むしろ、心地良い。


《アイツ》と、
また出会える事を
考えると


胸が熱くなった。

まるで、太陽の熱さ。


今だに自分の上に、
きらきらと光を
降り注がせる太陽に
一瞥すると



「あいつは、
太陽の様な奴だな」


――と、ひとり呟いた。





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