頂物・捧物

□ある昼食にて(キリリク!)
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憎い。
何が憎いって。
あのいつも余裕のある顔。へらへらへらへらへらへらへらへら!

『そんなに乱れちゃってさ…俺様の、コレ。好き?欲しい?』
『…あぁっ、すきっ、好きっ…!だから!早くしろっ…!』
『違うでしょ、挿れて下さいって、おねだりしてよ?』

ひそ、と奴の熱い唇が耳たぶに当たって昇りつめてしまった自分を思い出して、政宗は一人真っ赤になり。

『あらら、早いね。まーさむね…まさか早漏ってやつ?なーんて…そんなに気持ち良かったァ?』

絶叫した。

「んがああああああっ!」




―『ある昼食にて。』―





早朝五時。
いつもはしないエプロンをつけて、長めの髪も纏め上げて。
政宗は台所で一人ぶつぶつと何事かを呟きながら、慣れた手つきでパッパッと三つの弁当を作り上げていく。
それには起きて来た同居人の片倉小十郎が目を見開いた。

「おはようございます、政宗様。」
「…Good morning、小十郎。」
「こんなに早くから起きて作られているとは…。毎日有難うございます。今日の昼食が楽しみですね。」

早朝だと言うのに、きっちりと身なりの整った小十郎は新聞の朝刊を広げながら、政宗の作る弁当を覗く。
作りかけではあるが、普段より気合いが入っているのが分かるのは、毎日仕事場へと政宗の作る弁当を持って行っているからだ。

「…一つ、弁当箱が多い様ですな。」

しかし感じていた違和感に、ふと気付く。
普段は政宗と小十郎の分、つまり弁当箱は二つで事足りるはずだ。それなのに真新しい深い緑色の弁当箱が、黒と青の横に並んでいる。

「…く、っくく…。それはなァ、猿飛っつー、高校の奴に作ってやんだよ。あの野郎…男のプライドを…、っふは…。くっ、っ…Fuckーーー!!!」

肩を震わせ、さえばしとフライパンを片手ずつに、持った政宗は犬歯を見せてにやりと笑んだかと思えば、雄叫びを上げる。

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