頂物・捧物

□声無きコエ(相互御礼)
1ページ/1ページ

佐助は空を眺めていた。
奥州の空は高く、抜けるように青い。
龍が棲むにはうってつけだと思った。
蒼空を雀が二匹、チュンチュン鳴きながら舞っていく。
「…………ハァ」
佐助は溜息を付いた。
木の上からチラリ、と目を遣れば。

「美味いで御座る!政宗殿!!」
「Thanks,そう言ってくれて嬉しいぜ」
庭園に誂えた長椅子で、自分の上司と竜が仲良くお茶をしながら笑い合っていた。

―ああ…こっちでもチュンチュンしてるよ…。

目も充てられない。というか、心が痛い。
佐助の表情に影が差し込む。

「しかし、政宗殿が作る甘味は本当に美味いで御座る!いや、甘味だけでは無い。何をしても日の本一でござるな!」
竜が作ったみたらし団子を、旦那は頬張りながら言うと。
「お前なぁ…これ以上誉めても何も出ねぇぞ?」
「何、本当の事でござる!」
そう言われて、竜はまんざらでも無さそうに笑う。


「幸せそうだねぇ…」

―全く、こっちの気も知らないでさ。

佐助はぼやく。
大体、乳繰り合うんならこんな真っ昼間の庭園でやんなくたってイイでしょ?
そんで、オレ様居なくてもイイでしょ?


――…何で、こんな思いしなきゃいけないんでしょ?
あーあ、オレ様も竜の旦那が作ったみたらし団子食べたいなー。旦那の事だから絶対残してくれるワケ無いしねー。
「ハァ…」
何度目の溜息だろう。
佐助は陰欝な目で二人を見つめる。
『これも仕事』と、頭にたたき込んで。


「政宗殿、蜜が付いてるでござる」
「あ?どっちだ?」
旦那の言葉に竜は口元を指でなぞる。その仕草に旦那は笑って、竜の口元に付いた蜜をペロリと舐め取った。
「取れたでござる」
「オメーなぁ…」
悪態を吐いても竜の顔は笑っていて。
忍びとしての自分の心をバラバラにしていく。
「政宗殿」
旦那が竜の顔に手を添え、再び顔を近付ける。

――――が。
「Stop!!幸村」
竜はソレを掌で制止した。
てっきり受け入れるものだと思っていたから、佐助はきょとん、とした。
ソレは、幸村も例外ではなく。
「な…何で、ござるか…」当惑した様子で旦那が竜に問い掛ける。
「お前はお天道様が見てる中でオレを組み敷く気か?」
―…オレ様も見てんだけどね…。そう、佐助が思った瞬間。

竜と目が合った気がした。

心臓が射抜かれるかと思う視線。
ニヤリ、と笑った竜の口が音もなく言葉を紡いだ。

『       』と。


その後、竜は旦那に「続きは部屋でな…?」と囁き、鼻血を出した旦那に担がれながらその場から姿を消した。
「……………。」
誰も居なくなった庭園の長椅子に佐助は腰を下ろした。
残された皿の上には一串のみたらし団子。
佐助はそれを口に運ぶ。

甘い。甘い。竜の唇も、声も、こんなに甘いのだろうか。


『団子残しといてやるよ』

全てを見抜かれているあの声に。
ああ、オレは今も恋焦がれている。





………………………………四季和貴様……!!
すみません!すみません!(謝り足りない!)
幸村×政宗←佐助とゆーか。佐助が可哀相な話になってしまって……!
一応【声】ワード続きで、す…!
返品可でございます!べしっ、と投げ付けて下さいませ!

※四季和貴様のみお持ち帰り可です。
読んで下さった皆様へ!
有難うございました☆佐助好きな方ごめんなさい!


.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ