頂物・捧物

□真心は何の味?(相互御礼)
1ページ/2ページ

「政宗殿!今宵は某が夕餉の支度をするでござる!」
「へぇ、そりゃ楽しみだ」
いつも自分が幸村に食事を作って振る舞っていたから、それはとても嬉しい申し出だった。

―だが。
政宗を筆頭に炊き場の女中達は一斉に顔色を失った。
それもそのはずだ。
幸村が何かするたびに、破壊音が上がる。幸村が通った後は壊滅的なまでにヒドイ。まるで戦だ。
料理なんかしたこと無いだろう幸村にとって、当たり前と云えば当たり前なんだが。
しかし、これでは―…。
「…見てらんねぇ」
政宗はこれ以上、自分の城の炊き場を破壊されるのを止めようと腕を捲った。
「Hey、幸村。手伝うぜ、これ以上は――」
「ダメでござる!!」
ピタッと幸村が政宗を制止する。
「これは某が政宗殿に食べて頂く為にご用意する膳故、手出しは無用でござる!」
「いや、でもな…」
「政宗殿はご自分の部屋で待っていて下され!出来上がりましたらお持ち致す!」


――結局、炊き場から追い出された。


.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ