頂物・捧物

□猫を愛でる(相互御礼)*
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――腹立つなぁ。
なんか、うまい具合に持ってかれてねぇか?
「さすれば」
ツィっと、項に手が這わされた。
「んっ」
「猫は、こうすると気持ち良さそうに目を細めるでござる」
幸村の、少しだけざらざらする指先が、少しだけ冷たい指先が項から後ろ髪を撫で上げる。
その拙い緩慢な動作は、政宗の中に火を点けるには十分だった。
「フ…ウッ…」
身体の中に熱が渦巻き始めた瞬間に、幸村の手が離れた。見れば意地悪い笑みを浮かべて、こちらを見ている。
中途半端に煽られて、チリチリとした焦れったさが身を支配する。
「もっとして欲しい時、猫は擦り寄ってくるものでござる」
「―――――なん‥」
「それとも、もうお手上げでござるか?」
コイっツ……!本気に憎ったらしい!
けれども、身体は正直で。
熱は次の刺激を求めて続けていて――。
「………。」
オレは無言で幸村に寄り掛かり、肩口に頭を置いた。

その髪に幸村は音を立てて、口付ける。
幸村の吐息が髪にかかってくすぐったかった。
「…素直な猫ほど可愛いものはないでござるよ」
くすり、と幸村は笑った。
「んっ」
再び項に指先が這わされ、それはゆっくりと背を伝って下へと滑り落ちる。
布越しなのが何とも焦れったい。

『本当はもっと直に。こんなんじゃなくて。』
脇腹を撫で上げられれば、甘い声が出そうになり、必死で押さえる。     本能とは裏腹に、理性はまだ辛うじてあった。


此処は、外だと言う事。


政宗が身を捩ろうとすれば、脇腹の手はしなやかに熱を煽る。
早くも理性が崩壊しかけてしまいそうになる始末。

そんな時、口の端を幸村が音を立てて口付けた。
「猫はこうすると、舐め返しませぬか?」
睨んでも、多分。否、全然迫力はない。
その熱に囚われてしまっているのだから。
「…クソ…」      小さく呟いて、幸村の唇をぺろりと舐めた。
その行為に幸村は満足気だ。
頬が火照っていて、渇いて、紅潮しているのが分かる。
――けれど。
「もっとして欲しいでござるか?…」
けれど、あんまり物欲しげに思われるのも嫌だったし、そんなんで弱みを握られんのも癪だった。
あくまで余裕、あくまでCoolで居たかった。

「ウギャアァァ!!?」
オレは思いっきり幸村の胸元を両手で引っ掻いた。
その声に驚いて、猫は短い声を上げ走り去ってしまった。
「な…何を‥?」
涙目になってびっくりした幸村にオレは、皮肉めいた口調でいった。
「猫ってナァ、あんまり焦らすと愛想尽かすんだぜ」

幸村の胸元にはキレイに6本の赤線。
それを見た幸村は苦笑した。
「愛想尽かされては大変でござる。」
幸村は政宗を掬い上げる様に抱き上げ、政宗も当たり前の様にその首に腕を回した。
「機嫌をとる事にいたしますが、宜しいでござろうか?」
幸村が笑いながら聞けば、
政宗も。
「にゃーう」
と、笑いながら答えて見せた。




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麻織燈乃様!
リクエスト頂いたにもかかわらず、少しも叶ってない……!(切腹)
もっと精進致します!
返品可です!
相互ありがとうございました!

※麻織燈乃様のみお持ち帰り可です。


FireWorks 月凪 海
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