頂物・捧物

□猫を愛でる(相互御礼)*
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心地好い春の日。
縁側に座っていた幸村は、膝の上に丸くなっていた猫を撫でながら、ぽつりと呟いた。
「…猫は可愛いでござるな…。」
猫は幸村に撫でられ、気持ち良さそうに目を細めながら、喉を鳴らしている。
「…それは、どっかの誰かは可愛くねえって言いてぇのか?」
横目で幸村を睨んでも、シレっとした顔で。
「‥政宗殿が素直なのは、寝所の中だけでござるからなぁ」
「…アァ?!!」
尚も幸村は猫を撫でている。
「それとも、政宗殿はご自分が猫よりも可愛いと、素直だとお思いか?」
にやにやとした顔で幸村は政宗を見た。

カチンときた。
「――…当たり前だろ。猫なんかと一緒にされて堪るか。」
フイっと顔を反らせば、幸村がフッと笑うのが聞こえた。


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