頂物・捧物

□浴衣に恋して*(相互御礼)
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「何だオメー、浴衣じゃネェんか」
そう言った政宗は、意外そうな、でもどこか呆れたような感じでオレに言ってきた。


【浴衣に恋して☆】


今日は地元の祭りで、いつもツルんでいる学友の政宗に誘われて、
「ああ、いいな。じゃあ六時にな」
なんて、待ち合わせたらこんなことになった。

待ち合わせ場所にいた政宗を見て、オレは驚く他無かった。
藍染の浴衣をきっちりと着こなして、誰よりもその姿が映える。
政宗がオレに気付くまで、ずっと見惚れてしまった。
そして、冒頭のやり取りになる。
「…ま、オメェが祭り好きとかって考えてたのはオレの偏見か」
『てっきり浴衣で来るもんかと思った』と政宗は言う。
「いや…祭りは好きだが、浴衣は持ってない」
「へぇ?意外だな。オマエの家って純和風じゃん」
『オヤジさん、いっつも着流しだしさ』と政宗は言うが、それは親の趣味であって自分の趣味ではない。
それなら、政宗こそ家は洋風なのに何で浴衣なんだ。
突っ込みといった質問を政宗に問えば、
「日本の夏っていやぁ、やっぱ浴衣だろ?」
と、ワケの分からん外人みたいな事を言う。
「まぁ、細かい事は気にすんな!楽しもうぜ」
「あ、おい!」
人込みに駆け出す政宗を幸村は追っ掛ける。

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