翔女PRESS

□二次創作のための45のお題
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[ドルフィン早瀬の場合]
 特売やってるスーパーに行こうとしてたら優香に呼び止められた。ずいぶん焦ってるカンジ。また、なんか悪戯したのかな。
「美姫、見なかった? ちょっと手違いあってさ」
「ふーん」
「あ、あたしじゃないよ。ほらっ、キスシーン告知で気分がね、んー、昂ぶってるじゃない」
 そういう事か。はぁ。師匠も霧子さんも爆弾の投下しすぎなんだから。
「しょうがないなぁ。私も美姫ちゃんを捜す。見つけたらどうする?」
「食堂に連れてきて」
 あーあ。返事する前に走ってちゃった。優香と美姫ちゃんって姉妹みたいに仲良いからホンッとに心配してるんだなぁ。
「この埋め合わせは高くつくんだから……」
 何があったかも聞いてないけど、他ならぬ大事な仲間のために一肌脱ぐことはなんだか気分がよかった。


[沢崎 光の場合]
「……そっか。俊兄とカズミンが……」
 屋上でぼんやりしてたらミキティがやってきて、あたしの胸に飛び込んだ。
 何があったのか訊ねたらなんにも言わず泣きだしちゃって……、今はようやく落ち着いて、理由を話してくれている。
「でもなぁ」
 あたしの見解を告げる。勘違いじゃないのかと。ついでによくキスと見間違える目のゴミとりなどの事例を強めの口調でオーバーに話す。
「……うん。私もそんな気がする」
「でしょでしょ! カズミンだってあたしたちと一緒でアレに驚いてたんだからさ。キスなんか気軽にできるわけないよ!」
 でも。もしも。俊兄がモーションをかけたならカズミン拒めないかも……。
 ――そんなことない!
 あー。やめやめ。あたしまでそんな気を回しちゃだめだ。
「あーっ! こんなとこにいたの!?」
「美姫ぃぃーっ、心配したんだからァー!」
 あれ、葵に優香じゃん。二人ともミキティ捜しに来たんだね。うんうん。やっぱり、仲間はこうじゃなきゃね!
「お腹減ったね、みんな。ご飯食べにいこうよ!」
「オッケー!」
「そうだねーっ」
 あたしたちはミキティの返事を待つ。ま、答えは分かってるけど。
「行こう。私もお腹すいたな……」
 カズミンも落ち込んでなきゃいいけど。


[橘 みずきの場合]
 いよいよ撮影かぁ。私も和美先輩たちと仲間入りできたカンジ。思えばファンクラブで和美先輩たちと知り合って、正義について語り合い、司令に嘆願書出してJWPを旗揚げさせた仲間なのに。この一年長かったなぁ。今頃、志保も同じこと考えてるかもね。
 うわっ。和美先輩、どうしちゃったの? テンション低すぎ。今頃、みんなで台本見ながら話でもしてるかと思ってお茶菓子買ってきたのに。いったい何があったっての!?
 事件? 事件の予感。ここは遅れてきたヒーローの出番ね!
「……はぁ?」
 和美先輩の話から美姫先輩と何かあったみたい。状況から察すると……“キスシーン”が要因ぽい。た、確かに私もそんなの見たらショックだろうなぁ。
「…………」
 あうぅ。暗い。暗すぎ。
「元気出してください! 美姫先輩、戻ってきますよ! 私たちは仲間なんだからっ!」
「そうだね。……らしくないか」
 あ、ちょっと笑ってくれた。もう一押し。
 みんな! 力を貸して!


[ジャスティス・ウィンの場合]
「あー! お腹減ったぁー! 夕食のメニューはな・に・か・な」
「光ちゃん、走ってかないでよぉーっ」
「リーダー、たっだいまぁ! 優香、任務完了して帰ってまいりました!」
 光、葵、優香が食堂の戸を開けて入ってきた。
「(みんな……)ほら、和美先輩」
 心の声が届いたと嬉しそうなみずき。
「……和美。あの……」
「美姫!」
 中を窺うように静かに入ってきた美姫に駆け寄る和美。
「美姫、ごめん!」
「えっ?! 和美……」
「……リーダー失格。もっとしっかりしなきゃダメだね。美姫を泣かせたりなんかして……ごめんなさい」
「そんな……謝るのは私の方よ。ごめんなさい!」
 和美と美姫、その後も「ごめんなさい」合戦を続けて――グウゥゥ!――盛大なお腹の音に吹き出した。
「あは、あはははは!」
「ふふ、ふふふふふ!」
 どちらともなく手を差し出して握手をし、二人、吹っ切れた表情で微笑む。
「終わったー?」
「そろそろ、食べようよーっ」
 光と優香の催促の声。葵とみずきが和美と美姫の席の椅子を引く。
「和美ちゃん」
「美姫先輩」
 頷いて席につく。
 厨房の中から速水が顔を出して「おかわりもあるよ!」と声をかける。
「じゃあ、食べよっか」
「うん。いただきます」
 二人の仲直りを合図に楽しい夕食は始まった。

 食後、例のキスシーン対策として『キスにみえる事例の実践』を速水と全員が行なった。
 身内以外の男性と息遣いを感じられるほどの接触を初体験した面々はずいぶん長い時間、顔を赤くしていた……とか。


 その後無事に撮影が終了し発売されたPVの内容がどんなものであったかはファンたちだけが知っている。このPVの発売を機にJWP人気はさらに高まった。




後記:
今回はお題がお題ですので若干恋愛要素を絡めてしまいました。その手の解釈が苦手な方には申し訳ありませんでした。

ラブコメ寄りにしようと思ったら、ラブに傾いてしまった。むう。
人気急上昇の要因は、映像特典=メンバー全員のキス顔だったとか。実は特撮らしくCG合成だったらしいというオチ。

《2007/11/18》
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