翔女PRESS

□二次創作のための45のお題
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『38 しゅうげき』
背景:JWPと世界征服プロレスの対抗戦。


「本日のメインイベントは新人時代からの因縁の一戦です。我ら正義の砦熱き魂の化身ジャスティスレッドVS悪辣非道は誉め言葉笑い飛ばすぜ村上ツインズがここ幕張コンベンションホールで決着をつけるべく闘います。さて、如何なる一戦になりますか」


 JW控え室。
 メインに挑むレッドこと藤原和美とセコンドにつくイエロー=沢崎 光/グリーン=秋山美姫が最終調整に入っている。先シリーズで敵の本拠地に乗り込んだシルバー=橘 みずきとブルー=ドルフィン早瀬は最強怪人を打ち破ったがその後乱入した村上ツインズによって負傷、このシリーズは欠場している。これは二人の弔い合戦でもある。
 気合い注入中の控え室へブレイド=辻 香澄&ランサー=小早川志保のJセイバーズの二人が激励にやってきた。


 旗揚げから五年目のJWPには現在三つのヒーローユニットがある。W(ウィン)、S(セイバーズ)、星神だ。
 Wには一期生の藤原和美/沢崎光/秋山美姫/ドルフィン早瀬/優香と二期生の橘 みずき。
 Sには二期生の辻 香澄と三期生の小早川志保と四期生の北条沙希。
 星神には四期生の永沢 舞/滝 翔子と五期生の榎本 綾。
 コマンダーも初代の中森あずみから三期生の佐久間理沙子に引き継がれた。
 それぞれOVAながらも本人ら出演による実写版Jシリーズも好評発売中だ。おかしな話だが、敵として世界征服プロレスの選手が出演していたりする。


「次の試合、ボクたちもガードするからね」
「ガード?」

 ただ激励にきたわけではなかった香澄の言葉に美姫が訊ねる。

「敵の幹部が勢揃いしてるのを見つけたんです」
「ええっ!?」
「フレイアさんも来てるの?」

 志保の報告に美姫だけじゃなく光も色めきだつ。

「フレイアさんだけじゃないですよっ。引退を表明してる神塩さんにレイラさんもいたんです」
「……ほんとに?」
「メインで何かを仕掛ける気に決まってますよ、きっと!」
「レッド!」

 全員の視線を真っ向から受けて和美は笑う。不敵に瞳を輝かせながら。

「どんな勝負でも受けて立つ! 我ら正義の砦は明日のプロレス界のためにも決して陥落しちゃいけないんだから!」

 和美の、リーダーの言葉に大きく頷く四人。

「リーダーは私たちで補佐するとして」
「敵へはカスミン、みんなに召集をかけて! シホっちは司令部への報告よろしく!」
「了解!」

 控え室を飛び出してゆく二人を見送る。

「いくよ!」
「ええ」
「やるっきゃないか!」

 和美たちはリングへ戦いの場へ向かうのみ。


 リングには村上姉妹が会場を盛り上げながら待ち構えていた。

「逃げずによく来たなぁ!藤原ァ!!」
「今日がおまえの命日だぜ!」
「フフフフ。JWP興行、それもメインでレッドが鮮血に塗れて自ら流した血の海へ倒れる様をリング下から観させてもらうわ」

 二人の後ろから現われたフレイア鏡。途端にフレイアコールが起き、対抗するようにレッドコールで会場はヒートアップ。

「悪の大幹部さんはおとなしくしててください。もしも、手を出す気なら後ろの二人も黙ってませんよ」

 鏡は和美たちの視線を受けて妖艶な笑みを浮かべると千春と千秋に耳打ちしてリング下に降りた。

(仕込みは上々。あとはどう転ぶかしら……)

 そして――ゴングが鳴り響いた。



 リングとは別、会場の見えない所でもJWPと世界征服プロレスの抗争は勃発していた。
 その襲撃はカスミンの報告で予期は出来ていたものの完全ではなく敵側の勝ちだった。
 だが、その優位はすぐに覆された。

「この挑戦、最終決戦と受け取ったり!」

 TVスタッフを引きつれたピンク=優香が駆け付けて、ゲートを占拠していた世界征服プロレスの戦闘員を蹴散らていた。


「は〜い。みなさ〜ん笑ってくださいね〜」

 カメラを構えて売店を占拠していた戦闘員に近づく広報の保科優希。

「引退したヤツが何しにきやがった?!」

 椅子にふんぞり返って面白くもなさそうにしていたライラ神威が立ち上がる。

「おまえの相手は……私がしよう……」
「テメェは?! カンナァァー!!」

 同期でタッグパートナーだった相手。最も毛嫌いしていた……。最も憎かった……。しかし、心の底では最も信じていた。だからこそ、黙って辞めていったカンナが許せなかった。

「テメエェェーー! 殺してやるゥ!!」
「(ライラ……、今度こそ……)おまえを救う」

 様々な感情が爆発し激突した。


 花道へと続く廊下でもセイバーズと霧島戦団が火花を散らしていた。

「いくぞぉー! セイバーストリームアタック!」
「オッケー!」
「決めさせてもらう!」

 三位一体、一糸乱れぬ連携を持って繰り出される技のイリュージョン。

「……やるようになった」

 霧島レイラは直撃を受けて壁に激突。薄れゆく意識の中、潮時と思った。

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