翔女PRESS
□愛と友情と勇気のお題目
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07:宿敵
背景:愛の軍団交流戦、VS月の王国女子。UNDER2000タッグ前夜祭。
――勝った?!
スリーカウントを聞いたアタシは嘘だろうと思っていた。
対戦相手ノエアナ(白石&ディアナ組/月女)とアタシたち、まこみつ(近藤真琴&杉浦美月/翔女)との評価は大きく差があり下馬評ではノエアナの勝ちは揺るがない。
ボスには「胸を借りるつもりでいってこい」と言われ勝ち負け拘らず全力でぶつかった。
試合が始まり、実際に拳を合わせてみれば相手の強さが実感できた。
――強い!
素直な感想。アタシも美月も飛び技のような速さへの対応が劣る。けれど、アタシたちにはタッグとしての闘い方がある。勝機は必ずくる。結果は――
「只今の試合、SBS(サイクロン・ブリッド・セブン)からの体固めで近藤真琴選手の勝利です!」
――勝ったんだ! 嘘じゃないんだ!
「真琴、やりましたね」
パートナーの美月が駆け寄ってくる。
「負けましタ……最後はタッチワークの差でしタ」
「……まこみつ……侮れない……」
「また試合したいでス」
「……次……まけない」
月女の白石とディアナがアタシたちの健闘を讃え握手を求める。アタシも美月もそれに応える。
場内から沸き上がるファンの声援にアタシたちは手をあげて応えた。
――ありがとう。アタシたちはようやくスタートに立てた気がするよ。
ノエアナを擁する月の王国女子には翔女選手が打倒を誓っためぐちぐ(武藤めぐみ&結城千種)がいる。
翔女のトップに君臨していたライデン龍子が特にライバル視し、それがキッカケで月女との交流戦が始まったぐらいだ。龍子&小川や龍子&六角では勝ち越せず、現在の軍団トップを務めるソニックキャットとのタッグでようやく一進一退の攻防を繰り広げる間柄になれた。だが、決着は果たされず、ライデン龍子は引退していった。
アタシたちに託された想いは大きい。打倒めぐちぐを果たすため、アタシと美月はタッグの道を歩んできた。
目指す先がようやく見える場所へきたのかもな。
「なあ、美月」
「なんです?……真琴」
「これからもよろしくな」
「もちろんです」
――アタシたちはあの二人を越えてみせる! いつの日か、必ず!
翔女と月女との交流戦はこれからも続いてゆくだろう。生まれるドラマは終わることはないのだ。
後記:
VS月の王国女子戦の顛末。
本当は試合の途中からの描写にしようかと思ったんですが、まあ勢いというやつです。
月の王国女子/週間レッスル天/蛍野光様、これからもよろしくお付き合いください。
解説:
SBS(サイクロン・ブリッド・セブン)/コンビネーションキックL9
近藤真琴の必殺技。ロー・膝・掌打・ミドル・ハイ・踵・裏拳の七つの打撃を放つ連続技である。ロー・ミドル・ハイ・裏拳の四つの打撃を放つSBF(サイクロン・ブリッド・フォース)もある。
《2007/10/12》