黒河探偵事務所

□セクハラ刑事にご用心
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「へえ、2人は同級生だったんですか」



 そうそう、と頷き合う2人。


「卒業してから、コイツ、すぐ引越しやがったんだ」

「そうそう」

「へぇー」

「もう会えないって思ってたんだけど……まさかこの街の警察署にいたなんてね」

「"黒河探偵事務所"だなんてよ。まさかと思ってたが……この秘書さんの話聞いてすぐわかったぜ」



 あんなドジかますの、黒河しかいねぇもんな。と、軽く笑った。

 すると黒河が、さっきの光景の事を思い出した。



「そうだ 玲ちゃん、佐川。さっきのアレ、なに?」

「ああ……あれか」

「クロさん、あの……あれは……」



 玲は恥ずかし気に頬に手をあて、さっきのあらましを説明する。



「ハハ、玲ちゃんそれはないよ」

「……だって!」

「あ……それにしても、佐川」

「あ?」

「後ろから抱きつくなんて……そりゃ、セクハラだよ」

「なんだと、テメェ! この俺が折角落ち着かせてやったのに!!」

「他のやり方はないのか!!」

「ねぇ! だってよ、止められて、美人のカラダを触れる! 一石二鳥だろうが!!」



 得意気にそう主張する佐川の顔面に、ソファのクッションが命中したのは、そう間もなかった。













「……玲ちゃん、コイツには半径1m以上近付かない、近付けさせないよーに」

「はい」

「……ちょ、待て!」

「このセクハラ刑事が一定の距離以上近付いたら、このスタンガンを使いなさい」

「ここがスイッチですね? わかりました。電圧は最強にしときます」

「酷ェ!」

「さっきから何をほざいているんだい? セクハラ刑事さん」

「セクハラ刑事さん、用が無いならお帰りになって?」

「俺は一応仕事で来たんだ! その扱いは無ぇだろう!?」



 佐川の口から"仕事"という言葉を聞いて、少しキョトンとする2人。



「……玲ちゃんのカラダを触る仕事かい?」

「っ……わかった! スマン! 頼むから、その話は一度頭から消してくれっ」



 顔の前で手を合わせ、祈願する佐川。



「……ん、わかった。仕事ってなんだい?」

「ああ、それがな……」



 
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