黒河探偵事務所
□メイドの悲劇【前編】
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「そ、そうですか。では、ストーカーとは具体的に言うと一体……?」
「はい……。最初は無言電話から始まりました。そのあと、2日ぐらい後でしょうか……ずっと、誰かにつけられてるような感じがするんです」
「……はい。では、他になにかありますか?」
「他には……」
朝、玄関を開けたら紙袋が置いてあって……中には使用済みの女性下着がたくさん入っていました。
そこには手紙が入っていて、『ユナちゃんに似合いそうな下着をプレゼントするよ。愛してる』って……。
他にも、私が写ってる……たぶん盗撮だと思うんですが、写真や私に似てるたくさんのフィギュアとか……。
アパートのポストに婚姻届が入ってたり……。
常に見られてるような感じがして……怖くて……気がもちそうにないんです。
そして今日、友達と約束があって向かっていたら、イキナリ後ろから抱きつかれてっ……!
思いっきり振りほどいて逃げたんです。でも、どれだけ逃げても追いかけてきて……っ。
「ぅくっ……そこで、偶然見つけたここに飛び込んだんです……ヒック……っ」
「ひ……酷いですね……。ねぇ、クロさん」
「あぁ、さぞかし辛い思いをしてきたんでしょうね。……でも、もう安心して。この黒河におまかせください」
「あ、ありがとう……ふっ……えぇ……」
「アナタの安全は約束します」