黒河探偵事務所

□黒河探偵事務所
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 気付いたら、私は知らない空き地で倒れていた。



 ああ、身体、動かないや。

 寒い……寒いよ……。

 私、死んじゃう……かな。


 ……おかあ、さん……。













 そこで

 アナタは暖かい手を差し延べてくれた。




「……どうしたんだい? まぁ、ただ事じゃないのはわかるけど」



 ……あったかい。

 でも、汚れるよ
 私に触れたら汚れる。

 ……でも。



「君、家は?」



 今家に戻っても、またお父さんに殺されそうで。

 それに、ここがどこかもわからないから。

 だから首を横に降った。
 身体が動かなかったから、小さく、小さく。



「帰る家、無いのかい? ……ここにいたら危ないよ、こんな真冬で外にいたら」



 わかってる、わかってるけど……正直、別にもう死んじゃっても構わないと思った。

 お父さんもお母さんも失ったようなもので、1人で生きていかなきゃならないだろうし。
 お父さんに殺されるよりは、幾分マシだと。



「理由は聞かない。だからおいで」



 えっ……?

 ど、どこに?



 するとアナタは、私をヒョイと抱えて言った。




「黒河探偵事務所へ」




 クロ、カワ……。






第一章
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