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□二息歩行
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「これは僕の進化の過程の1ページ目です」






教団内ではいつものような陽気な雰囲気は溢れていなかった。
代わりにあったのは、信じがたい周りの行動だった。
自分の声を振り絞り、精一杯に話す。
「な、にしてるんだよ、お前ら…。」
「分かんないよ!でも何でか分からない、けど!止まらないの…。」
リナリーが浮かせてる足はイノセンスが発動していて、どうみても…仲間であるはずの彼女に向けられていて、今にも蹴り出しそうだった。
「神田、僕を殴ってください。じゃなきゃ、止まりそうにないんです!」
アレンはナイフを片手にイノセンスを発動させてから彼女に向けていた。
ラビは急いでコムイに今の事態を説明しに行った。
「ご、めんね…。あたし、が…居なければ……。」
彼女は彼女で自分を責めていた。
「ふざけてんじゃねーぞっ!」
「っ!」
泣いているその顔はぐちゃぐちゃに濡れていて、涙がまた頬を落ちる。
拭っても拭っても止まらないその粒を無視して力強く抱きしめた。
「か、んだ…。」
その言葉すら発さないように。
深く口付けをする。
「んぅっ…はっぁ……。」
息が荒い彼女なんか気にしないで彼女の頭を胸に押し付けた。
「お前は…俺の息を吸って、言葉を吸って生きてけよ。」
「…はっ、い……!」
周りはいつの間にか静かに地へと倒れ、気絶していた。



「私、あなたに助けられた今日を、過程の初めに刻むよ…。」






【二息歩行*神田 ユウ】.

 

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