Memorise ― 僕らがいた証 ―

□Memorise 最終章 Memorise― ありがとう ―
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Last game
Memories―― ありがとう ――

 こころが消えた後、涼矢がこころの座っていた椅子の上に紙があるのを見つけた。

それを拾って、ポケットに入れ、そのまま表彰式に出た。

トロフィーをもらった。メダルをもらった。一位という功績をたたえられた。それでも彼らは満たされた気持にはならなかった。















「……スズ、もう泣くなよ」

 アリーナを出て、彼らは公園に行った。よく、こころも一緒に来た公園だ。

 ブランコに座ったまま泣き続ける美鈴に、美鈴の隣のブランコを揺らしながら、勇斗が言う。

「行くなら行くって言えよな……」

 蓮がつぶやくように言う。

「きっと、ぼくらに気を使わせたくなかったんだよ」

「ったく、ココちゃんらしいから、怒れねーし……」

 博明と史也が苦笑気味に、さびしそうに言った。

「俺、ココ先輩にありがとうって、言ってなかったのに……」

独り言のように言って、らしくないやと誠一が笑った。

「一番にこのトロフィー抱えて、笑ってほしかったんだけどな……」

 涼矢は抱えたトロフィーを見つめながら言う。

「たった四カ月しか一緒にいなかったのに……ずっとそばにいてくれたような気がする」

 必死に涙を止めようとしながら、美鈴が呟いた。

メンバーたちの顔は夕日に照らされ、赤く染められている。いつもならその隣にもう一つの笑顔があった。

「……太陽みたいなやつだったよな」

 蓮が漏らした呟きに、全員が同意した。

辛いとき、いつも励ましてくれた。

不安なとき、大丈夫だよと、笑ってくれた。

ピンチの時、誰よりも大きな声で応援してくれた。

「長い時間じゃなくていいから、もう一度だけあって、ありがとうって言いたいな……」

『ありがとう』その一言が一番伝えたい言葉だった。



















「……あ、忘れてた」

 涼矢はトロフィーをベンチに置いて、ポケットから紙を取り出した。仲間たちが怪訝そうにそれを見る。

「これ、ココが座ってた椅子の上にあった」

 その場にいた全員が、ハッと息をのんだ。涼矢はそれを、そっと開く。

小さな文字が並んでいた。それは、まぎれもなく、こころの文字。
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