Memorise ― 僕らがいた証 ―
□Memorise 第七章 最後の試合(ゲーム)― 僕らは一つ ―
1ページ/6ページ
Seventh game
最後の試合(ゲーム)―― 僕らは一つ ――
その三日後に、合宿は終わった。もう、明日は決勝戦。
相手校は最上中と並んで優勝候補と言われている学校。
こころは不安を感じていた。自分は最後まで見届けられるだろうか、と。
最近では、体がふわりと浮くような感覚を、何度も経験している。
もう本当に最後なんだな、とこころは感じていた。
眠れない夜が明けて、ついに決勝の日。こころたちはアリーナに着いた。
ユニフォーム姿の仲間たち。涼矢と蓮が、二人に近づいてくる。
「どうしたの?」
「なぁに?これ?」
蓮と涼矢は何か袋のようなものをこころたちに渡した。
「開けてみろ」
涼矢に促されるまま、二人が袋を開けた。そして、二人ともあっと声を上げる。
「これって……」
「私たちの、ユニフォーム?」
袋に入っていたのは、最上中のユニフォーム。レギュラーたちのと同じユニフォームだ。
背中には、こころのには『Koko』、美鈴のには『Suzu』と名前が刺繍されている。
二人は驚いて、顔を見合わせた。かわるがわるユニフォームを眺める。その瞳には、微かに涙が浮かんでいた。
きっぱりと涼矢が言った。
「俺たちは六人で試合をするんじゃない。ココ、スズ、お前らも、仲間なんだ」
勇斗がVサインを送って、にっと笑いながら言う。
「だから、ココもスズも同じユニフォームを着て、応援してくれ。これが、俺たち三年生にとって、最後の試合だから……」
蓮が『だろ?』と涼矢に向かって言う。涼矢はうなずいて、手を出した。
「手だけで、いいんすか?」
誠一はそういうと、隣にいた史也と博明と肩を組む。
「どーせだったら、円陣組みません?」
誠一はニヤッと悪戯っぽい笑みを、こころと美鈴に向けた。
「……そうだね!」
そして全員で肩を組んで、円になった。キャプテンの涼矢が叫ぶ。
「全国優勝するぞ!最上中、ファイトーッ!!」
「「オーッ!」」