Memorise ― 僕らがいた証 ―

□Memorise 第三章 もといた世界― 地区予選開始 ―
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Third game
もといた世界―― 地区予選開始 ――


ついに地区予選が始まった。レギュラーたちはユニフォームを着ている。史也と勇斗が少し遅刻して、涼矢に叱られていたが。

 一試合目の相手は、海南中学校だった。最上中は強豪と呼ばれるだけあって、簡単に勝てた。

「すごい……試合になると、また違うね」

 試合を終えた仲間たちにタオルを渡しながら、こころはつぶやいた。

 いつもふざけてばかりの史也や勇斗も真剣な表情で、普段声を張り上げたりしない博明や誠一も、大きな声を出していた。

 こころはこの二ヶ月間で、メンバーのいろんな面を知ることができた。美鈴という大親友もできた。

 こころにとって、この場所は、新しい家……かけがえのないものになりつつあった。



















「ねぇ、フミ?次の試合ってどこと?」

「ンー?お昼の後で、岡野中とだよ。まだしばらくは休みー!」

「そうなんだ。じゃあ、スズ、私ちょっとお茶かって来るね。今日忘れてきちゃ……ッ?」

 こころは立った瞬間、自分の視界が歪むのを感じた。その場に、倒れこむこころ。驚いた史也と美鈴が駆け寄った。

「ココちゃん?!」

 その声に、他のメンバーもあわてて駆け寄ってくる。

「どうした?」

「わかんない……いきなり倒れて……」

 蓮が声をかけてもゆすっても、こころはピクリともしない。蓮は、こころを医務室に連れて行こうといった。

 史也と美鈴は半ばパニック状態だ。そんな二人を励ますために、史也の隣には勇斗が、美鈴の隣には博明がいった。

「大丈夫だから、二人とも元気出して……」

 博明が励ますように声をかけた。
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