星蘭の秘密の部屋
□Star☆diamond ― 最愛 ―
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―― ずっとずっと、あなたは私を支えてくれた。
見えないけれど、聞こえないけれど、感じていたわ。
あなたはいつも、私のそばに居てくれた。
傍に居て、支えてくれた。
きっと、これからもそうなのよね?
あなたはいつまでも、私の心の中に……
Star☆diamond ― 最愛 ―
美しい夏の日差しが差し込むある日。白いウエディングドレスを身に付けた王女は一人、お気に入りの場所に来ていた。
「……シェード」
彼女が呼ぶのは、双子の兄の名前。
数年前、竜の生贄となって、命を失った大切な自らの片割れの名前。
「シェード、みている?私、結婚するのよ?」
どうしても、一番最初に見せたかったの。
そう言って、王女……リールは笑った。
「不思議ね。私、あの人の事を愛しているのに、貴方に一番最初に見せたかったの。
やっぱり、それだけあなたの事が大切、ということなのね」
滝つぼの水に自分の姿を映しながら、リールは微笑んだ。
「少しも変わっていない……ふふ。笑っちゃうでしょ?私が結婚なんて、ね」
リールは今日今から、結婚式を挙げる。
よくある政略結婚ではなく、リールも、相手の男性も同意のうえでの付き合いを経て、婚約した。
リールは相手の男性を愛していた。貴族の出ではないものの、美しい心を持った、働き者の青年だった。
婚約が決定した時、真っ先に報告に来たのも、ここだった。
大切な双子の兄との、思い出の場所……クリスタル・フォール。
昔から何度もシェードと一緒に遊びに来た場所。
そして、最後にシェードが自分を逃がしてくれた場所……