Memorise ― 僕らがいた証 ―
□Memorise 第六章 仲間の笑顔― きっと忘れない ―
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「あー、もう無理!」
疲れきって、コートに倒れこむこころと美鈴。
「これっぽっちでダウンなんて、情けないなぁ」
苦笑する涼矢に、こころは『あんたらとは違うんだよ!』とつっこむ。そりゃそうか、と史也が笑った。
こころがさらに言い返そうとした時、彼女の頬に冷たいものがぴとっと押しつけられた。こころは小さく悲鳴を上げた。
「な、なに?!」
「これ。買ってきた。飲むでしょ?ココ先輩」
誠一が冷たいスポーツドリンクの缶を揺らした。それをこころに差し出す。
「ありがとうセイ!気がきくねえ」
「……いつもしてもらってることの、お返しっすから」
プイ、と照れたように誠一は顔をそむける、素直じゃない誠一。
思えば、初めてのことばかりだったな、とこころは思った。
こんなにたくさんの男子の世話をしたのも、こんなに笑って話をしたのも、個性豊かな仲間たちと、こんなにも仲良くなれたのも……
―― 幸せ、だったな……。この四ヶ月間。
こころはあふれそうになる涙をこらえて、微笑んだ。