めいん(NL side)
□君と夢と桜と 後編<未来>
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私の唇で弾んでいるかのように、何度も唇を合わせてくる。
それはまるで『このまま続けてもいい?』と聞いているかのようで
私は目を閉じて素直に降ってくる唇を受け止める。
「オネーサン、ボクの事好きになりなよ」
お願いにも命令にも聞こえるその言葉。
そして肯定する事も否定する事もしない私をベッドへ押し倒した。
「ボクが嫌な思い出押し出してあげる」
支えた腕の間から、色素の薄い瞳が熱を帯びて見下ろして、再び私の唇を覆う。
さかさず絡まってくる舌。さっきとはあまりにも違いすぎるキスに頬が上気するのがわかる。
「…やっぱり…ダメ」
「どうして?」
彼は押し上げる私の腕をやんわりどかして、唇をこめかみやおでこに落としつづける。
「このまま抱かれたら君に依存しちゃう」
「いいよ。オネーサンの全部受け止めるから」
そんな事言わないで
私は弱いから
空いた心を埋めるような事言われちゃったら、君に溺れちゃう。
君は私の傷口を塞いでくれるかもしれない。でも中はまだぐじゅぐじゅしてて、君より長く生きてる分、治りが遅くて
そんな状態で君にも見捨てられる事が起これば…
今度こそ正気でいられなくなる
愛されたいくせに、大切にされたいくせに
傷つくのが怖くて仕方ない
たぶん出会うのが早過ぎたんだよ…
「君の事は好きにならない」
虚しい宣言。
「じゃボクがオネーサンを好きになっていい?」
「そんな事言わないで…」
「好きだよ」
受け止めたいのに…
閉じた瞼から涙が落ちる。
彼はそっと私の涙を口に含むと、そのまま首筋へと唇が滑り落ちていく。
彼の柔らかい髪が私の鼻先をかすめて馴染んだシャンプーの匂いが香る。
「いっつ…」
鎖骨辺りに彼の唇が触れたところから生まれる痛み。
「そんなのつけたらドレス着れなくなっちゃう」