みはえる
□甘えた声で嘘を吐いた
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そうだから、
復讐にならない復讐をすることにした。
彼の浮気を、
ここまで許したんだから。
私が、文字通りの一夜の恋をしたところで、
彼に咎められる理由なんてないんだから。
「っふ、はっ、んぁっっ」
彼と違う、愛情のこもった優しい手つき。
すべてが懐かしいものだった。
「ねえ、君、幸せなの?」
「ぅん!」
そうか、
悲しそうな顔をして
左手首にキスをしてくれた。
最初で最後の相手に、最初で最後の嘘をついた。
彼に、かつてのミシェルを重ねてみる前に、
さよならをした。
ふらふらしながら
家に着いたころは、日付が変わっていた。
カレンダーに眼をやると、
今日は、ミシェルと付き合い始めて1年の日だった。
もっとも、彼の脳裏にはそんなことどうでもいいんでしょうね