みはえる
□隣で寝ていた君はもう、
1ページ/1ページ
「っああ、」
「っく!」
甲高い声が部屋中に響いて
虚しい行為が終わりを告げた。
消えることのない、左手首の醜い傷と
消えるわけがない、心に根付いた闇が
どこまでも私を苦しめる。
薄れゆく意識の中で
ぼんやりと思い浮かべたのは
隣で寝てる君は、目が覚めたころには・・・。
「・・・、やっぱり」
分かっていたはずだけど
いつもいつも、目が覚めたときの
シーツの冷たさには慣れることがない。
慣れたくない。
水が飲みたくて
けだるく、重い体を無理やり起こそうとしたら
ベッドサイドのローテーブルに
ミネラルウォーターのペットボトルが置いてあった。
気が利くのか、利かないのか。
あるいは、気付いてて
気付いてないフリをしているのか。
自分は、最低な人に惚れてしまった。
最低な人との最低じゃない夢を、未来を、想像してしまった。
あるいは、
最低なのは自分なのか。