ヘタリア

□吸血鬼の午睡
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私の(自称)恋人、アーサーには誰にも言えない秘密がある。
アーサーは、この街の領主さまで私の雇い主でもある。
主人とメイドの恋ってのもなかなか公には言えないけれど、もっとすごい。
アーサーの正体は人間ではなく、実は吸血鬼なのだ。

私はアーサーに少しだけ疑問に思っていることがある。
アーサーは普通の人間と同じように起きて執務に明け暮れていて、夜も夜で私と一緒にいたり、趣味の読書をしていたりする。
アーサーは一体いつ眠ってるんだろう…?

「ねぇ、アーサーはいつ寝てるの?」
午後のティータイムの時に聞いてみるとアーサーは涼しい顔で紅茶を飲んだ。
「そういや…最近あんまり寝てねえな」
「ね、寝てないって…体壊したらどうすんの!」
吸血鬼が寝不足で体壊すか分からないけどあんまり良くないと思う。
吸血鬼のくせに昼間っから日傘を差してるとは言え出歩いてるアーサーなら大丈夫かもしれないけど…
「もしかして、心配…してくれてるのか?」
「当たり前でしょ!」
私が大声をだすとアーサーは目を見開いて驚いているようだった。
「あっ…ほ、ほらっ領主様が体壊したらみんな困るから!」
「あ、あぁ。そうだよな…」

き、気まずい空気が流れる…

耐えきれず私は席を立った。
すぐ近くにあった木の下の日陰に入って座った私はアーサーに手招きをした。
「アーサー、こっちにおいで」
「ん…どうしたんだ?」
日傘を持ってこちらに来たアーサーに、
「膝枕してあげようと思ったんだけど、少し寝る?」
そう言って膝を叩くとアーサーはうれしそうな笑みをして頭を私の膝に預けた。
少しパサパサした髪を撫でているとすーすーと寝息が聞こえてきた。
「いつもお仕事、お疲れ様」
ご褒美代わりにアーサーの頬にそっとキスを落とした。

(アーサー、さっきは良かったね)
(ああ、最高だったぜ。)
(膝枕してもらってて、あとキスもされてた)
(?!)

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