The lost marriage
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「恭弥さん!また来ちゃいました!」
「恭弥さん!今度一緒にどこか出かけませんか?」
あれからよくこんな会話や光景を目にするようになった。
当然これは恭弥のことが好きで私にこの前宣戦布告のような形で恭弥に本気で狙うと言ったあの女性によるものだ。
なるべく見ないように、聞かないようにって思ってもそんなのは無理だった。
どうしても気になってしまう。
今のところは恭弥があの女性の誘いに乗ることはない。
だけどもし…なんて考えてしまうと見ずにも聞かずにもいられなくなってしまうのだ。
「…沙羅…」
「…え?どうしたの、ツナくん。そんな顔して」
名前を呼ばれたと思ったらそれはツナくんによるものだった。
ここは大広間。
つまり誰にでも目がつきやすいのでツナくん含むボンゴレのみんなはこの状況を分かっているのだ。
ふと見るとツナくんは眉を下げて辛そうな表情をしていた。
ツナくんの表情が何を示してるのかは分かる。
少なくとも“同情”ではなくどちらかというと“心配”に近い。
でもそんな表情を見たくないから私は気付かないフリをして笑った。
「……何でもない」
「そう?変なツナくん」
ツナくんは何かを言おうとしていたけれど結局何も言わなかった。
ただ彼女と恭弥のやりとりを見過ごすことしか出来ない私
私はそんな自分が恨めしかった
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