The lost marriage

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それから少し経ったある日。


少しだけ訪れた平穏が再び崩れ始めてしまった。








私がアジトを歩いていると何やら大広間の方で聞き覚えのある声がする。

ちょっとだけ気になったので私は中の様子を見てみた。





「!」



見てみると私は思わず目を見開いてしまった。

何故なら…





「恭弥さん!」


「…また君か」



中には恭弥と恭弥に好意を抱き彼のことを狙っているいつもの女性がいたからだ。

恭弥のことが好きなこの女性はボンゴレではないけれど
同盟ファミリーの一人なのでよくボンゴレアジトで見かける。
その時によく恭弥にアタックしているのだ。

この人は髪は茶色で長く、ふわっとした雰囲気の可愛い人。





「そんな嫌そうな顔しないでくださいよ恭弥さん。

…そういえば今日は沙羅さんは?」


「!」




私の名前が聞こえてはっとなる。


そうだ、この彼女…。
私と恭弥の関係を知っている。

しかしおそらく今恭弥が私に関する記憶がないということは知らない。


…どうしよう、このまま二人にきりにさせておいたら恭弥にボロが出てしまう可能性が高い。





「沙羅?…誰、それ」


「え…?誰って恭弥さんの…」



駄目だ、嘘がバレてしまう。

今はそれだけはなんとしても止めなきゃ…!






「…あの!」



そう思った私は思い切って大広間に入った。

二人は同時に私を見る。




「あ、沙羅さん…」


「え「雲雀さん、ツ…ボスが呼んでましたよ」




そんなのは嘘。

だけどそうでもしないと危ないから。




「…そう、分かった」



恭弥はそれだけ返事をしてよく分からなさそうな表情をしながら広間を出て行った。

…きっと彼女から知らない名前が出てきて、
しかも変なタイミングで私が現れてしまったことが恭弥のそんな表情を生んだのだろう。




ああ、でも良かった

上手く逃れられたみたい


私が安堵の息をこぼすと同時に一つの視線を感じた。





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