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□メイド夢
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〜骸のメイドさん〜



「六道様!起きてください!」



コンコンと六道様の自室の扉を叩いても返事がないので
失礼しますと一言言ってから部屋に入るとまだ六道様は眠っていた。


でも今日は任務があるから起きてくれなきゃ困る。

主人の面倒はメイドが見るのだからもし任務を寝過ごした、なんてことがあったらそれは大問題。


だから起こそうと必死なのだけど――…




「六道様ー…」

「…………」




呼んだだけじゃ起きない




「ろーくーどーうーさーまー」

「…………」




ゆすってみても起きない





「…骸様!」

「…………」




同じようにしても特に変わりはない


いや、最後のはもう流れで呼んだだけだから気にしないでいただきたい。

ちょっと下の名前で呼んでみただけだ。


って早く起きてもらわないと六道様がボスに怒られてしまう。


……しょうがない、耳元で叫べば起きるだろう



そう思って六道様の耳元に近寄る。

すると―――…





「え?」



ガシッと腕を掴まれる。

掴まれたその手は間違いなく六道様によるものだ。




「クフフ…」


「ろ、六道様!?」




なんと六道様は瞑っていた目を開け、そのまま私を引き寄せた。

つまり今、私の目の前は六道様の胸元だ。


え、ちょっと待って何これ。

すごく恥ずかしいんだけど…!




「クフフ、**。もう名前で呼んでくれないんですか?」


「なっ…!六道様起きてたんですね!」



私の耳元でクフフ、と独特の笑い声が聞こえる。


どうやら最初から六道様は起きていたらしい。
狸寝入りなんてひどい…!


私は恥ずかしさで顔が真っ赤だ。
思わず名前で呼んでしまった私はどうすればいいの。




「ろ、六道様…今日は任務が入ってますので早く…」

「…………」



とりあえず伝えるべきことを伝えたけど六道様は黙ったまま。

どうしたのかと思って六道様の顔を見上げる。
と同時に額に柔らかい感触と小さなリップ音が響いた。


それが額にキスされたのだと気付くのにはすぐだった。





「ろ、六道様!?何して…」

「…骸と呼んでください」



いやいや、どうしてそんなに落ち着いていられるんだ。

私はパニック状態だってのに。



もう一度聞き返そうとするけれど再び言われるのは「名前で呼べ」と。

分かった、呼べばいいんだ呼べば。


そう思って思い切って本人の目の前で名前を呼ぶ。





「…骸様」


「はい、何でしょう」


「………」




名前で呼べばニッコリと笑ってくれる六…骸様。

ドキッと心臓が高鳴った。




あぁ、もう――…







ご主人様にはかなわない
(クフフ、おはようございます**。顔が赤いですよ)
(…誰のせいだと思ってるんですか!もう早く任務に行ってください!)






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