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□親馬鹿の定義
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「ねぇ恭弥」
「何」
平和に過ごす毎日。
そんな日々の中、ある日**に呼ばれた。
何だろうと思って聞き返すと**がとんでもないことを言ったのだ。
「恭弥って親馬鹿だよね」
「……は?」
おそらく今の僕はだいぶ間抜けた表情をしていると思う。
何を言い出すかと思えば…だいたい何だ、親馬鹿って。
意味が分からない。
「何言ってるの。僕が親馬鹿なわけない」
「えー、そう?でも恭弥、いつも淳のこと心配そうにしてるじゃん」
「それは**だろ」
そうだ、親馬鹿なのは**の方だ。
**の口から淳の名前が途絶えたことはない。
…親として当然なことかもしれないが。
確かに僕も淳のこと心配…しないことはない。
でも当たり前だ、親なんだから。
いくら僕だって育児放棄とか子どもに無関心とかそこまで残酷な人間じゃない。
だからと言って、それは親馬鹿とは言わないはずだ。
「まぁ確かに私もかもしれないけど…絶対恭弥も親馬鹿だよ!
だって恭弥がちゃんと面倒を見る人は他にいないでしょ?」
確かに**の言う通りだ。
だけどそれは僕と**の子だから、そう言うと**ははにかむように笑った。
…あぁ、もう何でそんなことで嬉しそうに笑うんだ。
親馬鹿なんかじゃないって文句がこれ以上言いにくいじゃないか。
そんなことを思ったその時、居間の扉の方で何か音がした。
音がした方を見ると目を手でこすりながら立っている淳がいたのだ。
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